夏、五感と時間「カクヨム短歌賞1首部門 応募作品」

夏は、記憶の深淵を揺らす。

この連作は、その一瞬の眩暈を「虹色の肌裏」という、
身体の最奥に刻まれた感覚として紡ぎ出します。

陽炎が視界を歪ませ、
アスファルトから立ち昇る蝉の音が焦げつく。

そこにはディスプレイに映る「君」の像があり、触れた氷の冷たさが、
なぜか「虹色」を帯びる。祭りの熱狂、
ラムネの甘い泡、シャツ越しに透ける肌、

そして「届かぬ通知」が突きつける、
過去と現在の断絶。

五感の全てが、予期せぬ形で交錯し、
読者の現実を鮮やかに侵食するでしょう。

本連作は、青春の甘美な残像と、
過ぎ去った日々の切ない温度を、
現代的な感性で再構築した試みです。

詩情豊かな言葉と、
緻密に計算されたリズムの起伏が、
読者の瞼の裏に、
忘れがたい「虹色の夏」を焼き付けます。

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