夏の味蕾、記憶の残滓

陽炎に、喉灼く渇き。溶ける氷菓は、君の甘味(あまみ)。


ラムネの泡、舌に弾けてあの笑顔。祭りのざわめき、遠い木霊。


アスファルト、焦げつく匂い、排ガスと。口に広がる、過去の苦味。


真夜中の冷蔵庫、冷水が光る。舌を這う、夏の終わりの塩気。


バス停の、汗と潮風、頬を撫でる。唇にまだ、君の微熱が。


焦げたカフェオレ、微かな苦み。ディスプレイ、君は無言の光。


雷鳴が、グラスを震わす深夜には。舌に滴る、孤独な酸。


線香花火、煙の香、火薬の味。口に広がる、郷愁の残響。


夢の淵、君の笑い声、波に砕け。目覚める肌に、消えぬ甘みが。


白む空、記憶の粒は味蕾に。夏は永遠、胸奥を灼く。








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