夏の音脈(おんみゃく)、記憶を穿つ
蝉時雨、空より熱波を降らせる日。耳奥に響く、不在のひびき。
真夜中の遠い雷鳴、グラス揺れ。肌へと伝う、震える記憶。
砂浜に、波の砕ける音ばかり。君の足音、もう届かない。
祭りの太鼓、遠くで響く人波。綿菓子に触れる、指のざらつき。
イヤホンを外せば溢る、街の音。交差点、君の背中を探す。
風鈴の澄んだ響き、昼下がり。ガラスの向こう、揺れる陽炎。
冷蔵庫、氷の砕ける乾いた音。喉を潤す、孤独の甘み。
雨粒の音、ベランダに降りしきる夜。指先を這う、温度のない影。
夢の淵、君の笑い声、遠ざかる。目覚める朝は、静謐な痛み。
白む空、聴こえるは、夏の終焉。記憶の音脈、胸に刻まれて。
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