霧境のアークラント　―六十の扉を越えて―

紫の霧に覆われ滅びを待つ異世界アークラント。現代日本から選ばれた十二人の若者は、結界樹の巫女ルディアにより“扉”を越えて召喚された。内向的で感謝を力に変える慎也、結果を追い求める結那、自他に厳しい剣士・悠、長所を見抜く瑛美、空気を支配する朱里――価値観も能力も異なる彼らは、世界を蝕む〈終焉霧〉の核心「霧境核」を封じるため、三つの鍵を集める旅に挑む。
　塔京の霧獄王、炎鏡の紅炎魔女、氷廟の眠れる王子。断絶した都市を巡る中で、それぞれの信念が衝突し、友情が芽生え、感謝の言葉が剣となって霧を裂く。やがて結界樹が暴走し、霧境核は自我を得て世界を呑み込もうとするが、十二人は自らの弱さも強さも束ね、六十話にわたる決戦へ挑む。
　霧に隠された都市群、暴走する結界樹、そして仲間を想う言葉が滅びか希望かを分かつ