忌み子のラブソング

ショートなのでネタバレにならない程度にレビュー。

人間の欲望は非常に汚い。
それを、他者を踏みにじっても得ようとする。

そんな事を再認識できる小説。
文章もストーリーもしっかりしているので、ストレスなく読めました。

非常に面白いのでオススメです。
気になったら短いので読んだ方が速いです！
ただし、見るのには覚悟が必要です。

どうあっても救いなどない。
世界そのものが、そんな絶望を突きつけてくるような物語。

最初から希望など知らない方がいいのか。
それともたとえより深い絶望が待っていても。それでも希望の味を知り、逃避できる記憶を抱えて生きる方がいいのか。
そんな、それこそ救いのない選択を考えてしまう。

心に尾をひく短編でした。

このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む（425文字）

　読んでいて何度も感情を強く揺さぶられました。

　本作の主人公は『忌み子』と呼ばれる少女フィリア。
　この作品の世界では人間たちが争い事ばかりを続け、過去にそれを見兼ねた天使が救いをもたらそうとしたことがありました。しかし天界の『規則』を破ったことで堕天させられ、天使は地上に落ちることに。

　人間たちは自分を救ってくれた天使に感謝するどころか、いいように利用してボロボロにしてしまいます。それによる呪いが生まれ、『忌み子』と呼ばれる存在が度々誕生するようになっていった。

　序盤のこの設定を見ただけで、強烈なパワーを秘めた作品だと確信しました。
　そんな呪いに満ちた世界で生まれ、『忌み子』…続きを読む