読んでいて何度も感情を強く揺さぶられました。
本作の主人公は『忌み子』と呼ばれる少女フィリア。
この作品の世界では人間たちが争い事ばかりを続け、過去にそれを見兼ねた天使が救いをもたらそうとしたことがありました。しかし天界の『規則』を破ったことで堕天させられ、天使は地上に落ちることに。
人間たちは自分を救ってくれた天使に感謝するどころか、いいように利用してボロボロにしてしまいます。それによる呪いが生まれ、『忌み子』と呼ばれる存在が度々誕生するようになっていった。
序盤のこの設定を見ただけで、強烈なパワーを秘めた作品だと確信しました。
そんな呪いに満ちた世界で生まれ、『忌み子』として迫害を受けるフィリア。
そんな彼女のもとに、ある時に『一つの出会い』がもたらされることに。
本作はなんといっても、「物語のお約束」みたいなものが、何枚ものカードのように提示されていくことです。
「この感じだと、きっとこの先はこんな風に」、「これは、どうなっちゃうんだ」、「ああ、これなら絶対に大丈夫」
そんな風に各種の童話などの知識をもとに、「こうなるだろう」という想像力が刺激されていきます。
そうして先を予想させられていくことで、見事に作者様の手腕に踊らされることになりました。
ハラハラと心を揺さぶられ、最後はどうなるんだろうと先へ先へと読み進めさせられる。
そして、思い知ることになる。提示されたこの世界が「どんなもの」だったのかを。
ズシンと心に響くような、鮮烈なインパクトを持った作品でした。