第5話 『生存者』

――バババババッ!


 リサがバイクに乗りながら、器用に二丁サブマシンガンを回転ローリング撃ちする。撃てども撃てども、押し寄せてくるゾンビ。『物量攻め』が、コイツらの唯一にして最凶の戦法だ。


 討ち漏らしがリサに襲い掛かるも、一瞬で黒焦げになった!


「○物は消毒だぁああああああああああっっ‼」


 俺は火炎放射器をぶっ放し、ゾンビを焼き払った。火属性の『炎壁ファイアウォール』の具現化で、攻めより防御に適している。


「ヒロシ様、援護カバーありがとうございます」


「気にすんな、異世界むこうじゃ当たり前だったろ? にしても……」


 一時的に数は減るが、どこからともなく湧き出るゾンビ。並みの人間じゃ一溜りもない。


「それにまだ『生存者』の姿が見えませんね……」


 リサの言う通りだ。現実こっちに戻ってから、遭遇するのは『亡者』の群ればかりだ。


「まさか全員、ゾンビ化ってオチじゃねーだろうな……」


――きゃあぁああああああああっ!


 遠くから響く女性の悲鳴。俺とリサは、顔を見合わせた。今のは間違いなく『生きている人間』の悲鳴だ。ゾンビは呻き声しか出さねぇからな。


「ヒロシ様……!」

「ああ。行ってみよう!」


 ◇ ◇ ◇


 荒廃した街を爆走する俺たち。ちな俺は、風系統の魔術『風乗りエクスプレス』を具現化したスケボーに乗って、リサに並走している。


 まさかこの歳(30)で、コ○ンみたいにスケボーを乗りこなす事になるとは。そう考えてるうちに目の前にゾンビの群れ、中央には囲まれた女性の姿が!


「――リサっ」

「承知しましたっ」


 流石は異世界むこうで、十年も組んでたことはある。皆まで言わなくても、たった一言で俺の意図を汲んでくれた。


 バイクごと高く跳躍し、瞬く間に女性を救助。『向こう』でも、身体能力は抜群だったな。後は俺に任せろ!


 俺は『雷這ボルトスネーク』を具現化、電流棒スパークロッドを地に突き刺した! 次いで『水流ウォーターフロー』を具現化、散水機スプリンクラーで水を撒きつつ高圧電流を流した!


――バチバチバチバチッッ‼


 激しい閃光スパークほとばしり、ゾンビが感電。黒焦げになり、害虫のようにバタバタ倒れていく。


「流石ですっ、ヒロシ様!」


「……助けていただき、ありがとうございます。……っ⁉ あなた、もしかして野田君?」


 救助した女性が、俺の顔を見て驚いた。それは俺も同じだ。彼女は俺の高校時代の『同級生』だった。


「……もしかして、小野 朱美さんか?」

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―End of the world― 『異世界帰り』の俺は終末世界を無双する さんだー軍曹 @Thunder0104

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