【元ヤンキー企業戦争短編小説】霜月アサギは諦めない　～廃工場のレジスタンス～（約16,000字）

「この街から、あんたの施設なんて、なくなればいいんだよ」

　ブラッディ・イーグル社の社長の冷たい声が、霜月アサギの耳に突き刺さる。
　彼女が経営する介護施設は、この企業の標的となっていた。
　二十年前、この街一番の不良グループのリーダーだった彼女は、今や地域に根ざした介護施設の経営者。
　しかし敵の策略により、施設は存続の危機に瀕していた。

「集まってくれて、ありがとう」

　アサギの呼びかけに応じ、かつての仲間たちが再集結する。
　葬儀社の社長、不動産会社の経営者、システムエンジニア、そして介護福祉士……。
　それぞれの道を歩んできた元ヤンキーたちが、今、再び結束する。
　舞台は、彼女たちの青春が眠る廃工場。
　今夜、彼女たちは最後の戦いを始める――。