難解であり極彩色に彩られた継ぎ接ぎの世界
- ★★★ Excellent!!!
難解すぎる、と一話を読んで思いました。どなたか解説をお願いしたく存じます。
しかし、巧みな文章から極彩色の映像世界が想像できます。とても綺麗なアニメを見ているような感覚になるのは、きっと私だけではないでしょう。
その極彩色に触れたくて、何度も読み返しました。
そこに描かれるもの、作者様の伝えたいこと、なんとも、2000ピースくらいで作られるパズルの絵画の一片のように、見つけるのが難しいです。
印象に残ったのは、奇花が言っていた世界線の話。
パラレルワールドだと自分は思ってしまったのですが、バタフライエフェクトという言葉もあるように、この主人公の男の子・奏多が稀花にしたことは、おそらくこの世界の秩序(もしくはそう認識できるもの)を一瞬で壊せるだけのものだったのだと思います。
それは、そうなるように仕組まれていて、偶然を装いそうなった、とも言えるのでは。
また、これは予想もされず、誰の意図でもなく起こったこと、とも言えますね。
彼女たちが継ぎ接ぎなのも、誰がそれを普通じゃないと断言できるのでしょうか。
もともと胎内で双子だった胎児が、キメラという状態で、一つの体で産まれることもあるそうです。
誰が、人間の体は、その人一人だけのものだと決めつけられるでしょうか。
無数に広がっていく宇宙の中から、それでも奏多は稀花を見つけ出したいと願ったのだと思います。最後の着信は、この雑多で確かなものの無い信じがたい世界を、「あなたの存在を信じる」というメッセージを持って奏多に、私たちに寄越したものなのでは、と私は思います。
作者様の意図するレビューでないと思います。こちらのレビューは不適切でしたら削除いたしますので、よろしくお願いします。
作者様の描かれる世界が、なんとも奇妙であるのに美しくて、見入ってしまいます。
この作品を読んだ皆様のレビューという名の解答が、もっと見たくなる。そんな作品です。
追記
最後まで読了致しました。
そういうことだったんだね。と思うのと同時に、世界線はいつまでたっても、何回ループしても壊れたままなのだと。
でも、それも仕方ないのかもしれない、それだけのバタフライエフェクトを彼らは起こしてしまったのだから。
なんとも難解な世界観に、やるせない複雑な思いです。
いつか彼らが、この三角関係の無限ループから解放される希望を見出だすのを期待します。
作者様、素晴らしい切ない物語をお届けくださって、ありがとうございました。