時空を超えた恋――死んだあの人との恋として
- ★★★ Excellent!!!
主人公である高1男子「奏多(かなた)」の好きな女子「稀花(きか)」は、渋谷駅東横線線路内に転落し死亡する衝撃的な幕開けとなります。
翌日現れたのは頭部だけ別人にすり替わった女子「奇花(きか)」。
首筋のツギハギが嗜虐的な彼女、実は稀花の胴体を奪って稀花に成りすましたオバケなんです。
しかもただの成りすましでは済まないところが恐ろしい。
なぜこのようなことが起こりうるのか。
これには物理の法則性上に成り立つ世界線という概念が関わっており、論理でホラーを語る切り口がとても印象的かつ斬新な印象を強く受けますね。
その法則に不正が起こると、そこから生じる歪みから死んだ人やオバケといった非現実的な存在との共存が見え隠れするとのことで、展開されるSFホラー要素に舌を巻きます。
あの世とこの世とが繋がる時空線。
死んだ稀花との接点がこれにより織り成されこれまでにない恋愛ホラーとして醸成してる点で興味深いです。
作者様オリジナルの時間ループを絡めたの複次元的なSF恋愛小説です。深いです。