不器用な男がコミュニケーションを牛歩で学んでいく姿にニヤニヤさせられ、漫画のファブルを思い出したキャラクターの感情を丁寧に分かりやすく描いていて読みやすい
このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む(145文字)
読み返す度、主眼を変えれば何処かに心を寄せられる。誰かでもなく、誰がでもない、身近な想い。食い違う事もある。すれ違う事もある。けど、そこで生きている物語。
スッキリとした文章で物語を頭に流し込んでくれる感じの語り口がとても好きで、この作者の作品は出たら読みます。この物語も良い、良過ぎる。
なお強面なため、人と関わる全ての行動に対してマイナス印象が乗算される模様。人の気持ちや感じ方、考え方などがとても丁寧に書かれておりワクワクします。
さわやかなイケメンが返り血すら浴びずに倒すような無双はない。泥臭く、地に足付いたファンタジーである。主人公であるおじさんの悲しい過去と、度を超えて、もはや野生に生きる獣レベルにコミュニケーション能力のないおじさんのまっすぐさに、報われてほしいと思うことは請け合いである。おじさんの秘密、世界の秘密、果たしてどこへ向かうのか。最後まで目が離せない。新人潰しだとか死体漁りだとか、悪い噂の堪えないおじさんの贖罪と再生の物語。
第三者視点で描かれるストーリー、それぞれのキャラクターの思惑、まだまだ序盤ではあるが先が楽しみな作品です。どこまでも誤解されやすく、それも自覚してて改善しない中年探索者ジーク、私だけが知っている感でジークに接する美人受付嬢、外見で判断する探索者達、ヤキモキしたりニヤニヤ出来る良作です!
この世界をどう言っていいのか、、厳しい世界を描いているのに、「もしかしてこの小説は、のほほんとしたコメディーなのではなかろうか?」と思えたりもする深みのある小説っす。とにかく面白いっす。
主人公が実はいい奴という話だが、嫌らしさが全くない。全体のバランスがすごく良くて読みやすい。
もっと見る