その勢いは主人公の世界を変える

勢いが凄い作品でした。軽妙な文章ですらすら読めるからというのもそうですが、主人公の出会った〝とんでもなくデリカシーのない青年〟が凄いのなんの。デリカシーのなさゆえの強めな言葉の数々は嵐のよう。ゆっくり読もうと思っていたのに、気付けばあっという間に全部読まされてしまいました。
これはもう主人公もやるしかなくなる。こんな人に間近で「やれ!」と言われたらやらないという選択肢はどこかに飛ばされる。しかも目の覚めるような衝撃があったのなら尚更でしょう。

青年は最後まであらゆる方向に暴言と取られかねない言葉ばかりを吐き出しまくっていますが、その内容の真っ直ぐさのお陰で乱暴さが霞んで、なんだかとても清々しい気分になりました。

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