食べることを通して描かれる、少女達の幸せの形
- ★★★ Excellent!!!
章ごとに主人公の変わるオムニバス形式のこの作品。全ての章に共通しているのは、主人公の少女達が〝神食いの花嫁〟に選ばれるということ。
まずこの〝神食いの花嫁〟が神様を食べるということだからだと思いますが、作中に出てくる食べ物の描写が主人公の心理描写と同じくらい詳細です。個人的に馴染みのない食べ物もありますが、それでも美味しそうだと思えてしまうくらいしっかりと描かれています。
正直ちょっとした飯テロです(この作品の雰囲気を考えるともうちょっとお上品な言葉で表現したいところですが、言い換えが思いつかないのでこのままで……)
そんな食べ物に対して、少女達が抱く感想も様々です。
ある少女は何も感じなかったり、ある少女はとても満足したり。それが育った環境の全く異なる少女達の価値観を表しているようにも思えます。
〝神食いの花嫁〟に選ばれた少女達が何を思い、どんな気持ちで神に嫁いでいくのか――繊細で美しい描写と共に描き出されている作品です。