神喰いの花嫁

名瀬口にぼし

序章 とある少女と食物神の話

 ある寒い森の奥深くに、人に食べられるために生まれた神様がおりました。

 美しい姿をしたその神様の肉の美味しさは、食べた者が死んでしまうほどです。


 だから神様を愛した一人の少女が、神様に嫁いで、神様を食べました。神様の頭を、神様の足を、神様のはらわたを、少女はすべてを残さずに食べました。


 そして少女は、神様の美味しさに満足して死にました。


 神様を食べ尽くした少女の亡骸から、神様は再び人に食べられるために生まれます。

 美しく美味しい神様は何度も愛されて、食べられて、死んでまた生まれるのでした。

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