『重』の部屋で【ラーク】

「え、じゃあ次はアタシ??

アタシの名前はフウセン。職業は魔法使いで、見ての通り魔族〜」


フウセンという女性がくるりと回る。

悪魔のような羽と尻尾がふわりと出てきた。


「わ、私はカズラです。人間の戦士です。」

「アタシたちパーティーだから!よろしくね〜」


双子だろうか、そっくりだな。

だが、二人共種族が違う……

すると、僕らに視線が注がれているのが分かった。


「あっ、次は僕達の番ですね。僕はラークです!

獣人で、盗賊です!ギルド職員として働いています。それで、こちらは――」

「アルスト・ロメリアですわ!!人間の魔法使いですの!!彼はぁ………

ぁ、ロスさんですわ!!確か、魔族で盗賊のはずです……」

「……よろしくお願いします。」


「あ」って言った。絶対言った。

メリア、今のは絶対名前忘れてるだろ……

まあ名前を忘れても、別に関係ない。


「これが僕ら三人のパーティーです!」

「あ、俺はここのダンジョンの番人やってるシャクナだ。人間で戦士。

そこまで強くはないから期待はしないでくれよな」


ところで、なぜシャクナがこんなところにいるんだ?


「よしっ、全員自己紹介したな」

「なんか怖いくらいに色々バラけてるね!キアさん!」

「ルドベキアがキア、か。おう、キアで良いぞ。

で、どうだ?キラーさんよ。俺らは殺されたくないぞ?名のり出てくれないか?」


そうだ。争わないのが一番。

……だが、キラーも名のり出ないので沈黙が続く。


「……そうか、分かったよ。覚悟しとけよ、キラーさん」

「圧ヤッバww」

「キラーが出てこないなら、まずは死体を見に行きましょう……?」

「そうだねロス。手がかりがないと何もできないから。」


異様に死体を見に行きたがるロスも不自然だが、ここは賛同しないと何も始まらない。僕は妹のために生き残らなくてはならないのだから。



+++


「では、開けますよぉ……」


誰も扉を開けなたくないとなった結果、じゃんけんで負けたカズラが恐る恐る開けて一歩。


ブォン……


その瞬間、宙に浮いた。

その後に続き、みんなが入っていく。


「『重』ってこういうことなんですわね!!重力が狂っていますわ!」

「この赤い塊は……?」

「うわぁっっ!?」

「どうしたんですの……っ!?」


メリアの手に赤黒い塊がこびりつく。


「や、ヤバ。ガチの死体じゃん……」


フウセンが逃げようとして思いっきり宙をかく。

まるでクロールのようだが、しっかりと動けているのが面白い。

言い出しっぺのロスは、もうドアノブに手をかけている……

しょうがない。なら僕が。


「あの!僕が死体を部屋の外に出すので、先に出てください!」

「俺も手伝うぜっ、と。こんなもんか?」


キアが思ったように動けない状況でも死体を引っ張り、ドアに近づけた。

僕とキアで運び出す。やっぱりライオンって強いな……


「あ、ありがとうございました。戦士なのに、何もできなくて。」

「大丈夫ですよ。戦士なら、死因だけ鑑定してくれませんか?」

「あ、もちろんです!」

「お願いしますね!」


こそっとシャクナにも鑑定をお願いしておく。

まだ信用できたわけじゃないからな。

偽られてたら困るし。


「……刃物による傷です。後ろからグサッと刺されています。」


シャクナに目配せをすると、深く頷いている。

同じく、か。


「「刃物」」

「ですと、やはり戦士が疑わしいですわ……」「ならー、盗賊が怪しいんじゃね?」「「え?」」

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