【改稿版】オープニング
親友同士だった2人は対峙していた――。
「ユーキ……なんで……?」
「悪ぃな、アレク。お前をこっから先には行かせねぇ」
アレクの行く手を阻むのは、親友のユーキ。
その左手に持つナイフを真っ直ぐにアレクに突き付ける。
「なんでだよっ⁉ もう少しで、ボクたちの願いは――」
「だからだよ。お前に願いは叶えさせねぇ」
困惑するアレクに、ユーキは冷たく言い放つ。
揺れる
今、2人には燃える街も見えていない。遠くの剣戟も聞こえていない。ただ互いの存在だけが映っていた。
「諦めてシュアーブに帰れ。でなけりゃ……っ!」
最後通告と共にユーキが地を蹴る。
魔法で振動を開始したナイフが、閃光のように
アレクは咄嗟に抜いた剣でナイフを受けた。
剣を削ろうとする振動を、アレクの魔力が防護する。
「……ユーキっ!」
「ハッ! そりゃそうだよなっ。お前は簡単にゃ諦めねぇよなぁっ⁉」
息もかかりそうな至近距離で、白刃を交わらせたまま2人は叫ぶ。
「どうしてもってんなら、俺を倒して行くんだなっ!」
「くっ……。っだあぁぁっ!」
咆哮と同時にアレクが剣を力任せに振り抜く。
それに合わせるようにユーキは後ろへ飛び、距離を置いた。
「どうしても……?」
「そう言ったろ?」
「だったら……」
アレクは一瞬、瞑目して覚悟を決める。
ユーキは黙って、それを見つめる。
「だったら、ボクはユーキを倒して行くっ! ボクたちの願いを叶える為にっ‼」
「来いっ! アレクっ‼」
聖歴1366年――。
この日、長年を共に過ごした親友は互いに闘う事となった。
一方は、願いを叶える為に――。
もう一方は、それを阻止する為に――。
物語は10年前、2人の若者が出会った時から始まる……。
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