姫君たちの駆け引きは、恋の駆け引きではなくて……
- ★★★ Excellent!!!
平安朝の和風ファンタジーです。
平安時代というと『源氏物語』が真っ先に浮かびます。
――が、私は、冒頭数ページで「なんじゃこりゃあ!」と投げてしまった、という過去があります。
だって、女性の良し悪しを論じているんですもの、失礼しちゃうわ! ――です。
そんな私でも『東宮さまは~』は、最高に面白い物語だと太鼓判を押します!
東宮さまは東宮さまで、事情があるために「妃を選ばない」と公言しているわけですが、妃候補として集められた姫君たちだって、それぞれに事情があって、「それどころじゃない!」。
駆け引きは駆け引きでも、恋の駆け引きではなく、自分の人生を賭けた駆け引き!
「東宮さまの寵愛を得る」ことを目標に集まったはずの姫君たちですが、彼女たちは「『妃候補』という立場だからこそ、できること」を為すために奔走……画策(?)します。
主人公の織衣は、次の世の情勢を見極めるために、父に「行って来い」と送り出されました。
竹を割ったような正確で、道理の通らぬことは大嫌いで、勝負好き。昔のしきたりで、がんじがらめの内裏に行けば、そりゃあ、トラブルだらけになります。
そんな彼女を巡る、痛快な(とは限らないんですが)エピソード……は、中盤くらいまで、でしょうか。
ここまでで、既に最高に面白いのですが、私がもっと面白いと思うのは、それ以降。
織衣以外の姫君の目的が、明らかになって来ると……。
どうしようもなくらいのシリアスと、明るい陰謀と腹黒い陰謀(?)。
そして、胸のときめきが止まらなくなる、甘い(?)展開。
次々に変化していくストーリーに、目が離せません。
ラストはいったい、どうなるのか……?
とても楽しみです。