王都から離れた小城に住んでいる快活な王女イスー。その王女に拾われた奴隷ケン。
中央宮殿のしがらみに縛られることなく育った二人は、自由にそして抑圧されることなく育ちます。ただ、奴隷であるがゆえにケンは常に一歩下がるしかありません。
そしてイスーが十五歳の成年式を迎える日、彼女が病に侵されたことで穏やかだった日常は一気に暗転します。
あらぬ嫌疑をかけられた王女イスーに対する非情な仕打ち、去っていく人々、治らない病──。奴隷のケンは、なんの力もなくそれを見ているしかありません。
そんなある日、彼に王命が下るのです。
奴隷であるがゆえにケンが抱える歯がゆさ、王女イスーに対する秘めた想い、そして王女イスーの心の揺れ、二人を取り巻く人々の温かさや嫌らしさ、これらが丁寧に綴られた物語は、ある種の緊張感をもって二人の過酷な運命を読み手に突きつけてきます。
二人の運命はどうなる? 身分差の純粋な恋の行方をぜひぜひ追っかけていただきたいと思います!