第11編 日本の短い鉛筆
1 夕立
落ちる空、激しく叩く粒の群れ。覗き込んだ向こうには妬けた心が透き通り。
2 青空
鮮やかな青に瞳を見せられて、手のひらで囲った色は肌の色。それでも諦めきれなくて手を伸ばし指で輪っかを作ってる。
3 ピアニカ
構えると吹き口いつも向こう側。動かない指にいつももどかしく。流れるメロディ目で追って。
4 カラーイラスト
緑色、赤茶色、黄土色に黄緑と。色を並べてみたけれど、目玉は決して受け入れない。
5 4DX
ポップコーンとMコーラ。必ず買い込む定番で。シートに座り嵐のように掻き込んで腹の中でシェイクする。
6 死神
眠ってる少女にそっと声をかけ。手を取って首筋に手を触れる。嫌がる彼女の手を引いて、一度は着たい白の服。
7 退職日
取り出したカードに書かれた知らない人。肩に書かれた乾いた響き、額に書かれた重い響き、今日から何も響かない。
8 カップ焼きそば
傾けて流れ落ちるナイアガラ。吹き出る水の微粒子に視界がどんどんかすんでく。ステンレスの滝底が吠える様にたじろいで。
9 袋詰めチョコレート
手を入れて、中の空気をかき回す。茶色の記憶は飛んでいき、残ったものは物足りなさと紙の山。
10 日本の短い鉛筆
繋ごうと削った先と後ろ側。後から知った接着剤。綺麗事だけでは済まない人の社会。
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