守りたくて
第13話
あの日から、莉央と俺には距離が出来た。
「 和馬、いいのかよ、あれ 」
「 別に。鷹先輩達の前じゃ声すらかけれない程度の奴らじゃん 」
「 …お前がそれ言う?好きなのに自分から突き放しておいて。他の男子と話す莉央のこと気になって仕方のない、嫉妬野郎なのに? 」
肘をつき、ジトーッとした目を向けてくる寄。返す言葉もなく、黙り込んでいれば、今度は他のクラスの女子が俺のところにやって来た。
「 佐藤君、お昼ご飯一緒に食べない? 」
最近よく話しかけてくる、3組の
清楚でお淑やかで美人。莉央と同じくらい人気のある女子だが、何故か女子の友達は居ないようで、いつも取り巻きの男子と一緒に居る。
「 ごめん、吉田さん。和馬は俺と約束あるからさ 」
寄は、美奈と莉央以外の女子を苗字で呼ぶ。チャラいと思われたく無いのだそうだ。
ガタンと音を立てて立ち上がる寄が、俺の手を引いて教室から出る。
「 あ、待って 」
追いかけてくる吉田さんだったが、取り巻き達に見つかり足止めされていた。
「 桜田さんは、休みの日は何してるの? 」
「 莉央に馴れ馴れしい。廊下の端まで離れて喋って 」
自販機に行くという寄の隣を歩いていると、莉央達とすれ違う。
質問攻めに合う莉央と、莉央に好意を寄せる男子を蹴散らそうとする美奈とその他の女子。
美奈が居れば、莉央は変な男に絡まれる心配は無いなと安心しながら、ふと莉央を見ると、一瞬目があった。
通り過ぎるまでのほんの数秒の間だったが、久しぶりに莉央と目を合わせた気がした。
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