第10話

" 帰った?うちのお母さんが、莉央の好きなチーズケーキ焼いたってさ "


 1人で家路に着くと、さっきの莉央の様子が気になる俺を察してなのか、母が莉央の好きなチーズケーキを焼いたから食べにきてもらってとキッチンから顔を覗かせた。


 内心連絡を取るチャンスだとガッツポーズをし、そっけなく「そ」と母に返して急いで自室へと入り、莉央にメッセージを送信。


 いつもなら直ぐに帰ってくる返事が、なかなか帰ってこないことに心が動揺してしまったが、夕食を食べている途中に桜田莉央という表示が画面に映し出された。


 ” まどかさんのチーズケーキ嬉しすぎる!後で家行くよ "


 変わらない様子の返事に、どこか安心した。


 「 莉央ちゃん、なんて? 」


 「 後で取りに来るってさ 」


 徒歩5分圏内の距離。行き来しやすい為、普段からよくお互いの家を行き来している。


 家族も同然の関係なのは、両親たちも一緒で、莉央のことを娘のように可愛がり、莉央の両親もまた、俺を息子のように可愛がってくれていた。

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