第12話
和馬に言われた言葉が、突き刺さったまま、抜けない。
ただ、何も考えずに発した言葉なのだと思う。
私のことを拒否したわけでも、傷つけようとしたのでもない。そんなことは、私が1番分かっている。
なのに、今まで通りの関係では無くなってしまう。それを和馬は望んでいる。
そう感じてしまった。
追いかけて来て欲しかった。でも、泣いてる顔を見られるのも嫌。
矛盾している自分の気持ちが、どうにも心地悪い。
代わりに追いかけて来たのは、鷹先輩。
変わらずキラキラした目を向けてくれる。
こんな私のこと、どうして好きだなんて思ってくれるのだろうか。
気がつけば強引な鷹先輩に連れられて、部活終わりの美奈と一緒にクレープ屋さんに居た。
スイーツ系男子だと騒ぐ鷹先輩たちを前に、荒んでいた気持ちが少し晴れた気がした。
「 先輩たち、うるさいです。彼氏と約束あるんで早く食べてください。帰りたいです 」
相変わらずジトーッとした目を向ける美奈だけど、前よりも会話を続けているところを見ると心は開いているらしい。
「 桜田〜、なんとか言ってくれよ〜 」
「 鷹、これも美味しそうだぞ! 」
「 俺も帰りたい。早く食べて 」
最近過ごす時間も増えて来て、私も居心地の良さを感じ始めている。
前までは隣を歩くのは和馬が当たり前だった。
でも今は、和馬は反対を向いていて、隣には居てくれない。
私は変わり始める環境に、心が追いつかないでいた。
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