第7話

最近良く絡んでくる先輩がいる。


 3年の鷹先輩だ。


 不良だって噂で、チャラい見た目と取り巻き達に怖がり、近づく人はほぼいない。


 なのに、何故か物凄く執着されてしまった。


 「 あのさ、桜田は…パフェ好きか? 」


 「 好きじゃありません 」


 下駄箱で待ち伏せされ何を言われるのだろうかと身構えれば、可愛らしい単語と真っ赤な顔に拍子抜けする。


 「 好きって言えよ〜 」


 「 鷹、柄にも無くカフェ入って下調べしたんだぞ? 」


 「 いい迷惑です 」


 「 莉央、パフェ好きじゃなかったっけ? 」


 「 今嫌いになった 」


 残念そうに項垂れていく鷹先輩と、取り巻きの夏先輩に、カノ先輩。


 隣の美奈は、冷めた目でそれを見つめ、帰ろうと腕を引きその場から離してくれる。


 「 莉央さ、怖くないの?校内じゃ結構有名じゃん。鷹先輩が喧嘩ばっかりしてるの 」


 「 同じ高校生なんだから、怯える必要ないよ。ただ目立ってるだけで、校内で騒ぎ起こしたの見たことないでしょ 」


 「 桜田莉央、お前って女は 」


 「 先輩方は何でいるんですかね、断って振り切ったのに 」 


 「 美奈こそ、怖いものないでしょう 」


 せっかく振り切りパフェを食べに来たのに、何故か先に店内にいた鷹先輩達。


 私の言葉に涙を流しながら、大袈裟に肩を叩いてくるのは夏先輩。名前の通り熱い人らしい。


 「 鷹、甘いもの嫌いなのに良く通うよね。さっきパフェ嫌いだって嘘つかれて、遠回しに拒否されたばっかなのに 」


 「 王子フェイスが辛辣 」


 美奈がツッコミを入れたのは、帰国子女のカノ先輩。お母さんがイギリス人で、見た目はまるで王子様。なのに、発する言葉がキツかったりする。


 「 さ、桜田。奇遇だな 」


 「 わざとですよね 」


 そして、あからさまに後をつけ、先回りして入ったにも関わらず、分かりやすく目線を外して偶然を装う鷹先輩。


 噂のような悪い人たちではないが、最近よく絡まれ出したから、和馬と会えていない。


 夏先輩とカノ先輩が、圧をかけていると聞くが、もしそうだとしても、好きな人が自分から遠ざかっていくのは耐え難い。


 もしこの間に、和馬に好きな人が出来てしまったら…


 きっと私は、立ち直れないだろう。

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