第19話

「まず最初に、俺の名前は藤原錦っちゅーもんやで」


錦、って名前すごい京都らしくて綺麗だなあなんて。


「そんで、こっちが俺の親父の藤原宗輝(シュウキ)」



「そして、あっちのワイルドなおっちゃんが加藤祐二(ユウジ)や」



とりあえずこくこくと頷く。



「あ...えっと、あたしの名前は...橘伊織...です」


名前をフルネームでいっちゃまずかったかもしれないと思い、語尾が小さくなる。






「伊織、綺麗な名前やなあ」

錦くんがそう返してくれた。



「なんだ錦がそんな事言い出すなんて明日は台風か?」


「は...!?やかましいねん祐二さんは!」




綺麗な名前...なんて初めて言われたかもしれない。


突然の褒め言葉にどう返せばいいかわからず恥ずかしくなって俯いてしまった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る