第2話 やっちまったヨォ…
ダンジョンから帰った照星は装備を外し、自室のベッドに寝転ぶ。体の緊張を解き、背伸びをしながら天井を見る。
「はぁー!疲れた…それにしても濃い1日だったなぁー!小生ってば探索許可証を取りたてでダンジョンに行って、スキルの検証して…あっ、
照星は頭をかきながら、おでこに皺を寄せて悩みを解決しようと努めるがすぐにめんどくさくなり、考えることを諦めた。
「ふぅー、TVでも見てダラダラしよー!」
リモコンでTVをつけ、今日のニュース速報を調べる。すると、あるチャンネルでダンジョンについてのニュースを流していたので見ることにした。
『今日、とあるダンジョンで謎の現象が発生しており、政府は周辺を封鎖すると発表しました。また、政府は高ランクの探索者に調査を依頼…』
TVから流れる情報を聞いた照星はベッドから飛び上がり、TVを見つめた。
「マジですかい…政府案件になっとるやん」
照星は足りない頭を必死に働かせようとしたが途中でもうどうでも良くなり、TVを消してベッドで爆睡を始めた。
外が明るくなり始めた頃、照星は目を覚ました。今、照星はは1人暮らしなので家族はいない。その為、誰も起こしてくれはしない。
昨日は夜食を食べずにそのまま寝てしまったようなのでとてもお腹が空いている。
照星はお腹をさすりながら、キッチンで朝食を作り始めた。献立は食パン、スクランブルエッグ、サラダ、牛乳だ。
照星は朝食を机に運び、リモコンでTVをつけて朝食を食べだした。
『昨日、とあるダンジョンで謎の現象が発生しており、政府は周辺を封鎖すると発表しました。また、政府は高ランクの探索者に調査を依頼…』
昨日のニュースと同じ内容が流れ、照星は新しい情報がないか気になり、ニュースの続きを見る。
『依頼された高ランクの探索者は未だに誰もダンジョンから帰ってきておらず、政府は新しく高ランクの探索者を雇いました』
ふと、照星は思った。
「あれ?これ依頼された高ランクの探索者はお亡くなりになってない?ステータス確認して見れば分かるかな?」
ステータスと心の中で呟き、照星はステータスを確認する。
ーーー
小鳥遊 照星(20)
レベル:48
職業:毒魔導士
HP:280/280
MP:2400/2400
スキル:
称号:虐殺者、狂人、毒マスター、殺人者
ーーー
「はい。これはもう確定で殺ってますわー!称号に出ちゃってるし、レベルがアホほど上昇してるしさー!」
高ランクの探索者を殺してしまい、その分経験値が多く、レベルが急上昇したと考え、更に称号の殺人者まで加わると確定で照星が殺ってしまったと理解した。その心境は考えるまでもなく…罪の重さに押しつぶされそうになる訳もなく逆に面倒だと思っていた。
照星は人として性格が終わっていると言っても過言ではない。まぁ、探索者になるような奴はどこかしら頭のネジが飛んでいるとはよく聞く話だから大丈夫…である?
「はぁ、だる。まぁ、バレなきゃ小生は大丈夫だろ。ステータスは他人には見れないし、探索免許証を作る時にも公表してない。それに加えて鑑定とかもレベル高けりゃ弾けるからより安心だ」
照星は今しばらくは家に引きこもって、様子を見るもしくは
照星はその後、特に何かしたいこともなかったので自室でダラダラと1日を過ごした。
翌日になり、また朝食を食べている時にTVをリモコンでつけてニュースを見てみる。
『一昨日、発生したとあるダンジョンでの謎の現象は毒による状態異常が付与されることが原因だと政府から発表されました。前回、政府が依頼した高ランク探索者は毒であることに気づかず死亡し、今回依頼された高ランク探索者は毒であると気づき、報告したがその後死亡したようです』
どうやら、毒が原因であることがバレたようだ。しかし、また高ランク探索者が死亡した為、レベルが上昇してると考えられる。その為、ステータスを確認してみようと思い、照星はステータスと心の中で呟いた。
ーーー
小鳥遊 照星(20)
レベル:54
職業:毒魔導士
HP:340/340
MP:2700/2700
スキル:
称号:虐殺者、狂人、毒マスター、殺人者
ーーー
「また、レベル上昇していますねー。いや、別にレベルが上昇するのは良いんだけどさ、バレる可能性上がるから怖いんよ」
ステータスを見ていた照星の耳にニュースの続きが聞こえてきた。
『…政府は依頼していた高ランク探索者の報告を受け、以後、問題が解決されるまでそのダンジョンを一時的に閉鎖することを発表しました。さて、次は今日の天気予報…』
そのニュースを聞いた照星はTVをリモコンで消し、天井を見上げた。
「はぁー、やっちまったヨォ…」
照星は殺人に対する後悔なのか、そっと息を吐いた。今更ながらにして罪悪感でも湧いてきたのだろうか…
「あのダンジョンもう使えねぇーじゃん」
…そんな訳ではなかった。ただ単に人気のないことで都合の良いあのダンジョンに対しての後悔だった。人として終わってる。
「まぁ、後悔してても仕方ない。小生ってば頑張るぞい!…とりあえず、今は次に行くダンジョンでも探そうっかな?」
照星は早速とばかりにスマホのダンジョン情報を検索し、自分と相性の良さそうなダンジョンを探す。
やがて、良さそうなダンジョンを見つけたのか、放置していた食べ終わった朝食の後片付けを始めた。
所変わって白い空間で1人?の男性?が水晶に写されている照星の映像を見て、頭を唸らせていた。
「おかしいなぁ…あんなスキル設定した記憶ないんだけど…。永続的トラップ化なんてしたら色んなバランス崩すし、ダンジョンに誰も来なくなるじゃないか」
その男性?は様々な画面を表示させながら照星のスキル:
「ん?…まさかと思うけどこの前、神酒を大量に飲んでいる時に勢い余って設定しちゃったのかな…アババ」
男性?は過去の記憶を遡り、自身が酒盛りしている時に面白半分で設定したことを思い出した。また、今後のことを色々と想定し、慌て始めた。
「やばい、やばい!折角、ダンジョンが軌道に乗り始めたばかりだっていうのに…やっと人間達がダンジョンに馴染み始めてきたのにこれじゃぁ…」
男性?は頭を抱えてその場に蹲り、大量の汗を流す。やがて、何か思いついたのか男性?は立ち上がり、様々な画面を操作した。
「仕方ない…か。こうなったら…」
そして、照星の起こした問題は様々な場所で嵐を生じた。その後、どうなるかは照星次第である。
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