異世界で2つの職業を得たので自分らしく生きようと思う!

第5話 小生、完・全・復・活ッ!!!

ーーー


小シ鳥ョ遊 照ー星ン(10)Lv.1

1stジョブ:雷魔術師

2ndジョブ:神官

Exスキル:マルチジョブ

スキル:雷魔法、聖魔法


ーーー


「小生、完・全・復・活ッ!!!」


 ステータスを確認したことにより、ショーンは前世である照星の記憶を思い出し、その場で大声を上げながら立ち上がった。


「そこの貴方!主の御前で騒がしくしすぎです!主の加護に興奮するのも分かりますが他の方々もいらっしゃることを忘れずにっ!」


「ご、ごめんなさい!」


 興奮のあまり、案内してくれたおばあさんに速攻でお叱りを受けてしまった照星もといショーンはすぐさま周りへ頭を下げる。


「まったく、最近の子は元気なのは良いですが時と場合、場所をよくよく考えて行動すべきだということ知らないのかしら!私が若い頃なんてね…ブツブツ」


「…ぉぅふ」


 そこからおばあさんの説教ターンが始まり、ショーンのターンは日が暮れるまで来なかった。


 おばあさんの説教から解放されるまでかなりの時間が経ち、疲労困憊なショーンは教会を後にし、同じ村から来た皆んなの元へ歩いて行った。

 皆んなはショーンへの説教が長くなることを予想して教会の裏手にある広場で遊んでいた。何とも薄情な奴らだとショーンは思いながらも合流した。


 ショーンがアリーとサリーの双子の女子とカーバンとダイ、それとシニルの仲良し3人組男子に合流すると皆んなが駆け寄って来る。


「ショーン、遅かったな!」


「僕達はその間、遊べたから楽しかったよ」


「お腹空いた…」


「ショーン君、大丈夫?」


「フン!別にアンタがいなくてもどうでもいいんだけね!」


 話した順にするとカーバン、ダイ、シニル、サリー、アリーだ。


「薄情な奴らめ…小生を心配してくれたのはサリーだけだよ…シクシク」


 泣くふりをしながら、皆んなをこっそりと見渡すと全員が驚きの表情をしていた。

 何故だろうと思いながら様子を伺うと…


「ショーンってこんなんだったっけ?」


「なんか変な物でも拾い食いしたのかも?」


「お腹空いた…」


「ショーン君、本当に大丈夫?今日、様子が変だよ?…何かあったの?」


「ショーンがいつものショーンじゃない…」


「うわぁ…やっちまった」


 ショーンの一人称は僕だ。小生ではない。更にもっと柔らかい話し方だったのが軽いノリで話してきたらそれは誰でも驚く。

 なんとか誤魔化そうと考えたショーンだったが途中からめんどくさくなって諦める。


「ほら、主の加護貰ったじゃん?…実は精神面が成長するようなの貰っちゃって前よりも性格が変わったんだよ」


「そういうもんか?」


「そうそう、そういうもん」


「なら、分かったー!」


 内心皆んな純粋だなぁと思い、ほっとしたショーンだった。その後、ショーン達一行は冒険者ギルドでルーカスの訃報を伝え終え、教会まで迎えに来た商人のクズリアムに合流して首都サンデルの適当な宿屋に移動した。


 移動後、クズリアムが一部屋(小)、子供達は雑魚寝できる広さの一部屋(中)をとり大人と子供達で別れた。

 子供達が興奮冷めずに少し夜更かしをしてしまったことは、クズリアムには内緒だ。


 翌日、ショーン達一行は朝食兼ねた昼食を済ました後に宿屋を出て、クズリアムの馬車に乗り込んで首都サンデルを後にした。殉職したルーカスの代わりだろうか、新たに2人の冒険者風の男達がクズリアムと合流して軽く雑談をした後、馬車の左右に1人ずつ分かれて周りを警戒し始めた。

 クズリアムに話を聞いてみると、今回雇った2人の冒険者はルーカスと同じく、冒険者ギルドではDランクの冒険者とのこと。


 ショーン達一行は首都サンデル行きの時の様な魔物の襲撃に会うこともなく、順調に旅路を歩み、無事にショーン達の村であるクノックス村に辿り着いた。

 クノックス村の住民は100人程であり、この国の首都サンデル(約3万人)と比べるとだいぶ少なく感じるが長閑のどかで平和な良い村だ。


 クノックス村に到着したショーン達一行は子供達は各家庭の家に帰還し、クズリアムと護衛の2人はそのまま他の村に商売に行く予定なのかクノックス村を後にした。

 そして、ショーンはクノックス村の入り口でポツンと1人だけになった。


「確か記憶によると小生には父親と母親がいるはず…ああそういえば、呼び方はお父さんとお母さんか。間違えない様にしないと子供達の様に誤魔化すことはできないだろうし」


 ショーンは自身に対して暗示をかける様にぶつぶつと自身の基本情報を繰り返し言葉に出していく。


 やがて、自信ができたのか満足げな顔をすると自身の家に向かって歩き出した。

 ショーンの家はクノックス村の入り口から少し先の村中央付近にある井戸の周りの一つの家である。


 記憶通りに我が家のドアを勢い良く開け、中にいる父親と母親を目視し、大声を上げるショーン(笑)。


「ただいま〜!!!」


「「おかえり!ショーン(ちゃん)!」」


 ショーンの父親は座っていた椅子から立ち上がり、母親はキッチンからエプロンをしたままで2人してショーンまで駆け寄り、力強く抱擁した。

 ショーンは息苦しさと共に愛を嫌という程に感じて照れ臭く思い、2人から逃れようとするがガッシリと捕まえられており、ジタバタとするだけに終わった。


「お父さん、お母さん苦じいーよ!」


「あはは、ごめんな!だけどそれだけ、俺達はショーンのことが心配だったんだぞ?息子ならこれくらい受け入れろってんだ!」


「あらら、ごめんなさいね…ショーンちゃんのことを考えると胸が苦しくて…。無事に帰って来てくれてとても嬉しかったのよ?だから、少しの抱擁くらいは許してちょうだい」


「うぅ〜!」


 少しの間、両親との抱擁。やがて、満足した両親がショーンを離し、それぞれ元の位置へと戻る。

 ショーンは椅子に座った父親の前の椅子へと腰がけ、ゆっくりと一息ついた。


「それで、ショーンどうだったよ?」


「…何が?」


「何がってそりゃあ、主の加護であるステータスのことだ」


「ステータス…はい」


ーーー


ショーン(10)Lv.1

1stジョブ:雷魔術師

2ndジョブ:神官

Exスキル:マルチジョブ

スキル:雷魔法、聖魔法


ーーー


 ステータスの画面を表示し、父親に見せるが父親は頭を傾ける。


「あぁ〜ステータスを俺に見せているのか。ステータスは基本他人には見えねぇぞ?」


「そうなの?」


「そうだ。まぁ、鑑定っつうスキルがあるらしくて、それがあれば他人のステータスでも見ることができるようだぞ?」


「へぇ〜」


 ショーンは「なるほどな…」と内心で思いながら、鑑定のスキルがあれば便利そうだと感じた。

 父親は続けてこちらに指を向けて喋りだす。


「だからよ、ショーンがどんなステータスだったか教えてくれよ!息子の将来性とか気になるじゃんか〜」


「いいよ!しょせ…じゃなかった僕のステータスはね?なんとジョブが2つあるんだ!」


 小生と言いかけて訂正し、大きく胸を張って言いきる。それを聞いた父親は少しずつ顔が変化して驚愕の表情を晒した。


「へぇ〜…ッ!!?ジョブが2つだと?そんなの聞いたことがねぇぞ!?その2つはどんなジョブなんだ?」


「雷魔術師と神官って書いてある!」


「か、雷魔術師とし、神官っ!?雷って言えば雨の日に落ちてくるあの光だよな?アレを魔術として使えるだと…!?更に村に1人でもいれば死亡するやつが減る神官もって欲張りすぎだろぉぉおおお!!!」


「アナタ、そんなに大声出しちゃって一体どうしたの?」


 叫んだ父親に驚いて、母親がキッチンから駆け寄ってきた。火放ってきて大丈夫なん?


「ショーンにステータスを聞いたらジョブが2つあって更にそのジョブは雷魔術師と神官だったんだ!俺達の息子の将来は約束されたも同然だろ!?」


「まぁ!なんてこと!なら、今日はお祝いにご馳走作らなきゃ!!!私の手によりかけた美味しい料理を作るわね!」


 母親はキッチンに急いで戻り、慌ただしく料理を作ってはテーブルに置いていくを繰り返し、テーブルの上が豪華になっていく。


 その後は、父親と母親の2人と共にご馳走を頂きながら、首都サンデルまでの旅路での出来事をこと細やかに話して笑ったり、拳骨を頭の上に落とされたりとして過ごした。

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