第8話 盗賊をゲットだぜ!
集中して魔力の操作能力と変換能力の練習をしているとその後は特に襲撃もなく、あっという間に時間が過ぎて、太陽の光も赤みを増してきた。
夜の帳が下りる前に馬車を停め、各々が野営地にテントを張る。寝床の設営が終われば夜食を作る為に火を起こし、簡易的な食事を調理してササッと済ませる。
馬車の護衛である冒険者が夜間の見張りをしてくれるので魔物や盗賊の襲撃を気にせずに寝ることができるのは大変ありがたいことだ。まぁ、その分の料金は支払っているので当たり前だと言えばそうなのだが…。
前世では遅くに就寝することが多かったが今世では早寝が常識なので、そろそろ寝て明日に備えようと思う。設営したテントの中で寝袋に潜り、目を瞑りながらゆっくり意識を落としていく。
深夜帯に近づいた頃、何やら外が騒がしく目が覚めた。耳を澄ませば、剣と剣が衝突しあうような音が聞こえる。
これは多分、盗賊の襲撃だろう。隣の大国であるアーバン行きの馬車には、護衛費用を安く済ませたいと思うような商人が同行している場合が多く、その商品や乗客を狙った盗賊が出ることもある。
馬車の護衛である冒険者が勝てば良いが、負ける事も多々あるので外の状況を確認次第で加勢するかどうかを決めようと思い、テントの外に出る。
「…ヒュッ」
テントの外に出る時、顔面の横側を短剣が通り過ぎて一瞬息が詰まった。どうやら盗賊の1人が持っていた短剣を護衛の冒険者が弾き飛ばした事が原因のようだった…コロスゾ?
護衛の冒険者に一瞬で殺意が芽生え、睨みつけるがその冒険者は戦っていた盗賊とは別の背後から迫っていた盗賊により、背中を斬りつけられて地面に倒れた…ザマァ!
今回の盗賊は人数が多いこともあり護衛の冒険者とは戦力が均衡しているようだ。仕方なく、盗賊を殲滅する手伝いをする為にルーカスの仇であるクリムゾンベアを倒した雷魔法である『雷針』を弱目の威力に調整し、脳天ではなく足を狙って発動する。
これによって盗賊達は唐突に地面へと膝をつき、すかさずその隙を狙って護衛の冒険者は盗賊の息の根を止めていく。
他に隠れている盗賊がいないか探す為にも魔力探知を使い、野営地全体を把握する。
すると、後方に1人の盗賊が隠れていたのでクノックス村を滅ぼした黒魔龍から逃走する時に使った雷魔法『雷化』を発動し、隠れていた盗賊の背後に移動する。
「…動くな」
「ひゃいっ!」
「ん?」
隠れていた盗賊の背後から首都サンデルで適当に購入しておいた鉄剣を首元に近づけ、脅すと女の子の声が聞こえた。
すかさず、鉄剣を持っていない方の手を動かして身体検査ならぬセクハラをかます。
「んぅ…みゅぅ…」
臀部を触られて、身をよじるが首元の鉄剣を恐れて大人しくする盗賊(女)。
「ほうほう…これは中々…」
反応が良いので、面白がって臀部に這わせていた手を前方の胸部に向かわせる。
「…キャッ!…あぅ」
頬を赤くして、涙目になりながらこちらを睨もうとするが首元の鉄剣を傷つけない程度に揺らすと大人しくなる。
「良いではないか、良いではないか…」
時代劇でありそうな台詞を垂れ流しながら手を盗賊(女)の胸元、ようは心臓付近を人差し指でつつく。
これはヤろうと思えば、今すぐにでもお前をヤれるんだぞ?という意味を込めてやっている。勿論、レ◯プとかの方じゃなくて殺人の方ね?当たり前じゃん???
※これは決していやらしいことをしている訳ではありません。身体検査です…多分。
「うぅ…命だけは助けてくだしゃい…」
「お前次第だ…な」
さて、おふざけもここまでにして…今回、何故盗賊をさっさと始末せずに脅しているかというと、女の子ってこともあるが聖魔法の練習用として丁度生きている実験体が欲しかったからだ。
聖魔法は練習するにも対象が必要なことが多く、それは聖魔法が回復系統の魔法で殆どを占めていることにも由来する。
今回、試してみたい聖魔法は『信徒化』。この聖魔法は対象を自身の信徒へと強制的に洗脳する魔法だ。原理としては聖魔法で対象の脳内を弄って書き換える感じで、ホントにこれってば聖魔法なのかと、考えついた自分でも怪しんだものだ。
…では、早速とばかりに聖魔法『信徒化』を発動させる為の準備をして、今回の対象である盗賊(女)の頭の上に手を置く。
「信徒化」
「キャッ!…ググッ、ガァ。ギッ!アガガ!」
盗賊(女)は一瞬のうちに目の焦点が合わなくなり、口から泡を吹き始めた。仄かに下から水音が聞こえ、見ると盗賊(女)が粗相をしたことに気づいた。
「きたな(笑)」
聖魔法『信徒化』がまだかかりそうなので後にするが、後程に聖魔法『浄化』をかけて綺麗にしようと思う。
暇なので盗賊(女)の見た目でも鑑賞してみようと思い、目を向ける。
髪型はショートの茶色、身長は俺が大体170cmくらいだからそこから考えると150cmくらいに見える。胸は触った感覚からしてB〜Cカップくらいで細身。素肌は軽く日焼けしていて田舎の幼馴染風だ。
顔は…今は聖魔法『信徒化』の影響で白目をむいていて泡を吹いている状態だが、さっき見た感じだと可愛い系の顔立ちでモテそう(小並感)。
総合評価は田舎にいたらモテそうかつ都会に行ってチャラ男とかに弄ばれて染まりそうだという感じ…なんで盗賊なんてやってんのかな(笑)。
冒険者ギルドの受付嬢くらいにならばなれそうなのに…そっちの方が儲かるし安全だろうに。まぁ、それに関しては追々聞いてみればいいだろう。
…っとそんな風に評価をしていたら、盗賊(女)に発動した聖魔法『信徒化』が完了していた。
盗賊(女)の瞳は光を失い、無表情でこちらを伺ってくる…うん、こっちの方が俺好みだな。従順そうで俺の命令を守ってくれるだろうことが理解できるし。
とりあえず…盗賊(女)をゲットだぜ!とまるでどこかのポヌモンハンターのような台詞を脳内で考える。
「とりあえず、浄化」
聖魔法『浄化』を盗賊(女)に発動して、全身を綺麗にする。パッと見、遭遇した当初よりかは綺麗になったからかより可愛く見えるようになった。
聖魔法『浄化』は全身の汚れだけでなく、中身の汚れも綺麗にするので細菌類も安心できる。これを使えば、卵の生も安全に食べれるからマヨネーズ作れるんだよね。…それに加えて夜の性活も安心安全で励メルヨ?
「主様、私二御命令下サイ」
片言で話しながら、頭を下げる盗賊(女)もとい、奴隷1号(仮)。
「まず、お前のステータス全て…それに加えて何でお前が盗賊なんてやってたかを教えろ」
「了承致シマシタ。私ノ名前ハ、アミルタ。年齢ハ15歳デス。レベルハ8、ジョブハ家政婦、スキルハ家事全般トイウスキルノミデス…」
「そこで一旦待て!やっぱり、片言だと聞き取りづらいから普通に話せ」
「分かりました。では、普通に話させてもらいます」
アミルタの瞳に光が戻り、意識を感じられるような表情で話し出す。
結構な無茶振りしたけど、普通に喋れるんかい!最初からそうしようよ…空気を読んでただけかもしれんけどさ。
「さて、何でアミルタは盗賊なんてやってたんだ?その容姿とジョブ、スキルなら金持ちの商人の妻や下位貴族の妾くらい目指せるはずだろ?
妻や妾じゃなくとも、家政婦の仕事をこなせばある程度のまとまった金額は手に入るだろうし、理由を教えてくれ」
「はい…私は元々、この近くの村に住んでいました。主様の言う通り、私は村長の息子と婚約を結んでおり、約束された将来がありました。
しかし、平和な日常はそう長くは続くことはなく、突如として大量の魔物が村を襲ったのです…」
「ほう、大量の魔物が突然と…」
アミルタには、婚約者がいたらしいがやることはやったのか少し気になり、その村長の息子と穴兄弟になるのは嫌だと思った。
そりゃあ、俺だって男だし、どっかの主人公君のように自分から手は出さないとかはありえない。良い女が手に入ったなら、お楽しみするに決まってるじゃん。
「魔物を倒すことはできたのですが、村人の中にも死亡者が多数出てしまい、男手が足りなくなりました。
魔物によって畑が壊されてしまい、私達の村は税を納められなくなりました。結果的に村は滅びました…」
「へぇー」
そん時に村長の息子も死んでいれば、良いのにねぇ〜。
「残った元村人達は仕方なく盗賊に身を落としました。いけない事だと理解しているのですが私達にはもうどうすることもできなく、罪を犯す方法しかとれなかったのです」
アミルタの自白は終わり、こちらを伺うように見つめてくる。
「…あっそう。罪は罪だし、お前達が苦しいからって他の誰かを殺し奪って、私腹を肥やして良い訳じゃあない。
盗賊は殺されたって文句は言えない。何故なら世の中ではそれが当たり前だと常識だと思われているから」
「はい、理解しています…イタタッ!!!」
アミルタは顔に影を落とし、下を向くのでその顔面にアイアンクローをかます。
「だからよ?死んでも同然なら、人のように扱う必要なんてない。だって、捕まえて街の門番に渡したとしても即刻処刑になるんだぜ? それなら、俺がお前を物のように扱っても良いはずだ。人じゃないなら物だ。物をどう扱おうが俺の勝手だからな。お前の意思なんて関係ない…」
アイアンクローの隙間から見えるアミルタの表情は恐怖に染まっており、これが普通のアミルタがとる行動なのだろう。
「これからお前は俺によって弄ばれる。残りの人生全てを俺の実験に費やされる。ああ、そうだ。理不尽だろうがこれがお前の選択した結果だ。
可哀想に…だけどありがとうな俺の物になるために罪を犯してくれて!これで俺はより人生を楽しめる…HAHAHA!!!」
アミルタはもう何も反応せず、行く末を見守っている。もう全てを諦めたのだろうか?
「…ということなので、今後は俺の話に合わせて動けよ?とりあえず、お前については盗賊共に捕まっていたということにしておいて、それを俺が救出し保護したような感じで進めるからな」
「分かりました」
「じゃあ、ついてこい」
「はい」
俺はアミルタを連れて、テントを張った野営地に戻る。そして、アミルタのことを事前に考えていた通りに説明する。
更にアミルタとは知り合いだったことにして今後の同行分の料金を俺が追加で支払うことによって許可を貰う。
後は自分のテントにアミルタを連れて行き一緒に寝ることにした。この時、俺は聖魔法『保護結界』を発動させた。
この聖魔法『保護結界』は一定の攻撃から身を護ることができる。更に音が外に漏れないという効果を追加で足した。
後は何をするか分かるよな?それはもう、アレやコレやして楽しんだ…ちなみに村長の息子はかなり奥手な奴だった、ということが分かった…まぁ、俺からしたら穴兄弟にならなくて助かったが。
そして、俺は濃厚な夜をアミルタと過ごした結果…寝不足になった。とにかく、今回分かったことが聖魔法は絶対に性魔法だ!ってことだな(笑)。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます