第十六話: 新たな道しるべと光の導き
王都の地下での激闘を終えた悠斗たちは、異界の門を開くための儀式を未然に阻止することに成功した。しかし、彼らの心にある安堵は束の間のものであった。地下組織のリーダーが最後に口にした「これで終わりではない」という言葉が、彼らに新たな不安をもたらしていた。
王都の宿に戻った悠斗たちは、次なる行動を話し合っていた。彼らの前に立ちはだかる試練は一つの山場を越えたものの、地下組織の脅威が完全に去ったわけではなかった。今後、さらに厳しい戦いが待ち受けていることを覚悟しなければならなかった。
「儀式を止められたのは大きな成果だけど、あの男が言っていたことが気になるわね…」
エリスは、リーダーが口にした不穏な言葉を思い返していた。悠斗もその点について考えを巡らせていた。
「確かに、彼らが異界の門を開こうとしていることは間違いない。だが、あれが彼らの最後の手段ではないということだろう。もっと大きな計画が裏で動いている可能性がある」
悠斗の言葉に、リュウが心配そうに尋ねた。
「それじゃあ、僕たちはどうすればいいんだろう?また王都の地下に潜入するのは危険だし…」
悠斗はリュウの不安を和らげるように優しく言った。
「焦らずに行こう。まずは今回の儀式を阻止できたことで、彼らが次に何を企むかを見極めることが大事だ。地下組織の動きには引き続き注意しつつ、他の手がかりを探していこう」
「その通りね。でも、次の手がかりをどうやって見つけるのかしら?」
エリスが問いかけると、リーナが少し考え込んでから口を開いた。
「巻物に書かれていたことが全てではないはずです。異界の門を開くための儀式には、もっと大きな力が必要だと感じました。もしそれが正しければ、異界の門に関連する他の場所や物が存在するはずです」
「リーナの言う通りだな。まだ何か見落としているものがあるかもしれない」
悠斗はリーナの意見を取り入れ、次なる手がかりを探すために動くことを決めた。
翌日、悠斗たちは再び王都の情報屋を訪ねた。地下組織の目的や彼らが異界の門に関するさらなる儀式を企んでいるかどうか、詳細な情報を得るためだった。
情報屋の小さな店に足を踏み入れると、前回と同じく中年の情報屋が迎えてくれた。彼は悠斗たちが戻ってきたことに少し驚いた様子だったが、すぐに彼らの真剣な表情を見て、話を聞く準備を整えた。
「また来たか。何か新しい情報が欲しいんだろう?」
情報屋は悠斗たちを座らせ、自分も椅子に腰を下ろした。
「地下組織の儀式を阻止したのは分かったが、彼らはまだ何かを企んでいると感じている。異界の門に関連する他の場所や物について何か知っていることはないか?」
悠斗の質問に、情報屋は少し考え込んだ。
「そうだな…異界の門に関連する話なら、いくつかの伝説がある。特に『光の聖堂』と呼ばれる場所が重要視されている。そこには、異界の門を封じるための鍵となる力が眠っていると言われている」
「光の聖堂…?」
エリスがその名前に興味を示した。情報屋は続けて説明した。
「そうだ。光の聖堂は王都から北に位置する山岳地帯にあると言われている場所で、長い間忘れ去られていたが、最近になって再び注目を集めている。そこに行けば、異界の門に関するさらなる手がかりが得られるかもしれない」
「そこに異界の門を封じるための力があるとすれば、地下組織もそこを狙っている可能性があるわね」
エリスはその情報に基づいて、行動を計画し始めた。悠斗もその提案に同意し、光の聖堂へと向かうことを決めた。
「ありがとう。光の聖堂に行ってみる価値がありそうだ」
悠斗は情報屋に感謝の言葉を伝え、すぐに光の聖堂へ向かう準備を始めた。情報屋は彼らの決意を見て、何かを思い出したかのように再び口を開いた。
「もう一つ、注意しておけ。光の聖堂には強力な守護者が存在すると言われている。もしそれが本当なら、君たちが遭遇する危険は計り知れない」
「分かった。覚悟して進むよ」
悠斗は仲間たちと共に、王都を後にして光の聖堂へ向かう旅路に出発した。
光の聖堂へと向かう道のりは険しかった。山岳地帯に入ると、道は次第に狭く、険しい岩山が続いていた。しかし、悠斗たちは迷うことなく進み続けた。彼らの心には、異界の門を封じるための力を見つけるという強い意志があった。
数日後、彼らはようやく光の聖堂があると言われる場所にたどり着いた。そこには古びた石造りの建物が立っており、その佇まいはまるで時間の流れから切り離されたかのようだった。
「ここが光の聖堂…」
リーナはその場所を見上げ、何か神聖なものを感じ取ったように静かに呟いた。エリスも同じ感覚を共有しているようだった。
「慎重に行こう。ここには強力な守護者がいると言われている」
悠斗は仲間たちに注意を促し、ゆっくりと聖堂の中へ足を踏み入れた。
聖堂の内部は広大で、天井には古代の模様が描かれていた。中央には巨大な石像が立っており、その前には不思議な光が漂っていた。
「この光…何かを守っているようだわ」
エリスはその光に引き寄せられるように近づいた。しかし、その瞬間、石像がゆっくりと動き始め、彼らの前に立ちはだかった。
「来るぞ…!」
悠斗は木の枝を構え、石像が襲いかかってくるのを待ち構えた。石像は巨大な剣を振りかざし、悠斗たちを打ち倒そうとしたが、彼らは素早く回避し、反撃に出た。
「リーナ、魔法で援護してくれ!」
悠斗の指示に、リーナは強力な魔法を放ち、石像の動きを一瞬止めた。エリスとリュウもそれぞれの力を使って石像を攻撃し、徐々にその動きを封じていった。
「今だ、一気に決める!」
悠斗は全力で木の枝を振り下ろし、石像の核心部に攻撃を加えた。その瞬間、石像は大きな音を立てて崩れ落ち、動きを止めた。
「やった…これで守護者は倒した」
リュウが息を整えながら言った。エリスも安堵の表情を浮かべたが、リーナはまだ警戒を解いていなかった。
「まだ何かが…」
リーナがその言葉を口にした瞬間、聖堂の中央にある光が一層輝きを増し、彼らを包み込んだ。その光の中から、一冊の古びた本が現れた。
「これは…?」
悠斗はその本を手に取り、慎重に表紙を開いた。中には古代の文字で書かれた予言の断片が記されていた。
「これが…異界の門を封じるための鍵かもしれない」
エリスがその内容を読み解きながら言った。本には、異界の門を封じるための儀式についての詳細が書かれており、それを行うためには特定の場所と道具が必要であることが示されていた。
「これで、異界の門を完全に封じるための方法が分かった。あとは、それを実行に移すだけだ」
悠斗は本をしっかりと握りしめ、仲間たちと共に決意を新たにした。彼らはこの鍵を使い、異界の門を封じるための儀式を完遂しなければならなかった。
「でも、これで終わりじゃないわ。地下組織が再び動き出す前に、私たちが先手を打つ必要がある」
エリスの言葉に、リーナも頷いた。
「そうですね…この力を使って、異界の門を完全に封じましょう」
悠斗たちは光の聖堂で得た新たな手がかりを胸に、次なる行動に移ることを決めた。彼らの前にはさらなる試練が待ち受けているが、異界の門を封じ、この世界を守るために、彼らは一歩一歩前進し続けるのだった。
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