第二話: スキルの力と未知の世界
森の中、悠斗はしばらくその場に立ち尽くしていた。目の前に広がる異世界の風景は美しくもあり、現実味が感じられなかった。しかし、さっきの「神」の言葉が頭をよぎる。
「インフィニティグロース…か。どうやって使うんだろう?」
まだ右も左もわからない状況だが、まずはこの力を試してみるしかない。悠斗は先ほど拾った木の枝をもう一度握りしめ、集中してみた。すると、手のひらにほんのりとした温かさが広がり、木の枝がわずかに光を帯びた。
「これは…?」
その瞬間、悠斗の体にエネルギーが流れ込むような感覚があった。力がみなぎるようで、心の中に自信が芽生える。
「おお、すごい…!これがインフィニティグロースの力なのか?」
何かを掴みかけた気がしたが、まだ確証が持てない。だが、試してみる価値はありそうだ。悠斗は辺りを見回し、何か実験に使えそうなものを探した。
「まずは…この木を斬ってみようか」
目の前に生えている太い木を目標に、木の枝を振りかざした。枝の先端が木に当たると、驚くべきことに、枝がまるで鋭利な刃物のように木を斬り裂いた。
「うわっ、マジかよ!」
思わず声を上げた。木の幹に深く食い込んだ跡を見つめ、悠斗は自分の目を疑った。
ありえないぐらいキレイに木がスパッと斬られている…。
「インフィニティグロースって、まさかこういうことか?」
おそらくこの力は、悠斗が何か行動を起こすたびに、そのスキルが強化されていくのだろう。それが「無限に成長する(インフィニティグロース)」という意味なのかもしれない。
「だったら、もっと試してみるか」
悠斗は再び、周囲の木々を次々に斬りつけてみた。斬るたびに力が強まる感覚があり、枝の一振りで木が倒れるようになっていく。
「すごい…これは本当に無限に強くなるのか?」
しかし、その無双感に酔いしれるのも束の間、背後から異様な気配を感じた。振り返ると、茂みの中から何かが近づいてくる。
「何だ…?」
次の瞬間、巨大な狼のような獣が悠斗の前に現れた。鋭い牙を剥き出しにし、赤い目で悠斗を睨んでいる。大きさは通常の狼の倍以上あり、その圧倒的な威圧感に、思わず身がすくんだ。
「くそ、やっぱりこんなこともあるのか…!」
神の言葉を思い出す。異世界は甘くない――それを実感する瞬間だった。しかし、今の悠斗には強力なスキルがある。怯んではいられない。
「インフィニティグロース…俺の力を見せてやる!」
悠斗は木の枝を握りしめ、獣に向かって突進した。すると、獣も牙を剥き出しにして飛びかかってくる。悠斗は恐怖を振り払い、勢いよく木の枝を振り下ろした。
「おりゃあああ!」
枝が獣の頭に命中し、その瞬間、獣は吹き飛ばされ、地面に叩きつけられた。悠斗は信じられないほどの力で獣を倒してしまったのだ。
「やった…俺、やっちゃったのか?」
自分の力に驚きながらも、悠斗は胸の中に生まれた達成感を感じていた。この世界での自分の可能性を実感した瞬間だった。
「この力があれば…」
その後、悠斗は倒れた獣の前に立ち、息を整えた。この世界で生き抜くための手段を手に入れたことに、少しだけ安心感を覚える。
「よし、次は何をするか…まずはこの森を出よう」
悠斗は新たな目標を胸に抱き、異世界での冒険を続ける決意を固めた。彼の前には、まだ見ぬ世界と数々の試練が待ち受けている。これが、悠斗の本格的な異世界での冒険の始まりだった。
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