第三話: 異世界での初めての出会い

悠斗は、倒した巨大な狼を見下ろしながら息を整えていた。異世界に来てから初めての戦闘で、自分のインフィニティグロースのスキルがどれほど強力かを実感した。だが、この世界がどれだけ危険かも同時に理解した。まだ何もわからないこの世界で生き抜くためには、もっと情報が必要だ。


「この森を抜けて、まずは人のいる場所を探さないと」


悠斗は木の枝を杖代わりにしながら、森の奥へと足を進めた。目指すは安全な場所、そしてこの世界についての情報を得るための手がかりだ。


森の中を歩き続けること数時間。ようやく森が開け、広がる平原の向こうに小さな村のようなものが見えてきた。


「やった…人がいるかもしれない」


期待に胸を膨らませながら、悠斗は村へ向かって歩を進めた。近づくにつれて、木造の家々が並ぶ小さな村が徐々に姿を現す。煙が立ち上る煙突や、畑で作業をする村人の姿が見えてきた。


「よし、まずはあの村で情報を集めよう」


しかし、村の入口にたどり着いた瞬間、悠斗は異様な雰囲気を感じ取った。村全体が静まり返り、まるで何かを恐れているかのような緊張感が漂っていた。何かが起こっている――そう直感した。


村の入口に近づくと、一人の若い女性が荷物を抱えて、慌てた様子で村から飛び出してきた。彼女は悠斗に気づき、驚いた表情で足を止めた。


「あ、あなたは…」


「ごめん、驚かせたか?俺はただ、この村に入ろうとしていただけなんだ」


悠斗は手を上げ、安心させるように言った。しかし、女性の表情は緊張したままだ。


「まさか、あなたも…村を助けに来てくれたんですか?」


「助けに?一体何が起こっているんだ?」


「村が…魔物に襲われているんです。村長が近くの街に助けを求めに行ったのですが、まだ戻っていません。みんな不安で、村を守るために逃げる準備をしているところです」


悠斗はその言葉を聞いて、胸がざわついた。まだこの世界に来たばかりの彼にとって、異世界の危険はまだ未知数だ。だが、ここで無視して通り過ぎるわけにもいかない。彼の心の中にある「助けたい」という気持ちが強く湧き上がった。


「魔物って、どんなやつなんだ?」


「大きな爪と牙を持つ、まるで獣のような姿をしています。村の近くの洞窟から現れ、家畜を襲い、村人たちも襲われそうになっています。私たちは何もできなくて…」


彼女の声は震えていた。悠斗は、その話を聞きながら、先ほどの自分の戦いを思い出していた。インフィニティグロースのスキルがあれば、もしかしたら村を守ることができるかもしれない。


「俺が、その魔物を倒す」


「え…?」


彼女は驚いた顔で悠斗を見つめた。


「俺には少し特殊な力があるんだ。その魔物を倒せるかもしれない。だから、村の人たちを安心させてくれ」


悠斗の決意に満ちた言葉を聞いて、彼女の顔に希望が見えた。


「ありがとうございます!どうかお気をつけて…」


悠斗は彼女に一言礼を言い、村の奥へと進んでいった。村の広場には、怯えた表情の村人たちが集まり、静かに祈りを捧げていた。悠斗はその光景を見て、ますます決意を固めた。


「これが俺の最初の試練か…」


インフィニティグロースのスキルで戦えることはわかっている。しかし、村を守るために戦うことが、自分にとってどれほどの意味を持つのか、まだわからなかった。ただ、ここで戦うことが、自分がこの世界で生きていくための第一歩だと感じていた。


「よし…やるしかない」


悠斗は気持ちを引き締め、村を守るために洞窟へ向かう準備を始めた。彼の異世界での試練は、ここから本格的に始まる。インフィニティグロースのスキルを活かし、村人たちを救うための戦いが、今まさに幕を開けようとしている。

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