第五話: 旅の仲間との出会い

村を後にした悠斗は、次の目的地を求めて広大な平原を歩いていた。異世界に来てから、これまでひとりで行動してきたが、次第に誰かと旅を共にしたいという気持ちが芽生え始めていた。どこかで、自分と同じようにこの世界で生き抜こうとしている人に出会えれば、きっとお互いに助け合えるだろうと考えていた。


「さて、次はどこに向かうか…」


地平線の向こうに目を凝らしていると、遠くに一つの町が見えてきた。村よりも規模が大きく、商人や旅人が行き交っているのが見える。ここで情報を集め、新たな目的地を見つけることに決めた。


町に入ると、活気に満ちた雰囲気が悠斗を包み込んだ。通りには商店が立ち並び、露店で賑わう人々の声が飛び交っている。悠斗はその喧騒に耳を傾けながら、適当な宿屋を見つけるために通りを歩き始めた。


「お客さん、何か探してるのかい?」


ふと、背後から声をかけられた。振り返ると、そこには明るい笑顔を浮かべた若い女性が立っていた。彼女は手にバスケットを持ち、何やら果物を売っているようだった。


「いや、ちょっと宿を探してるんだけど…」


「なら、私がいい宿を紹介してあげるわ。初めてこの町に来たの?」


悠斗は頷き、彼女に事情を話すことにした。彼女は熱心に話を聞き、そして笑顔でこう答えた。


「それなら、この町で一番評判のいい宿を教えてあげるわ。ちょっと歩くけど、ついてきて!」


彼女の案内で、悠斗は町の中心部に向かって歩き出した。彼女の名前はエリス。この町で生まれ育った商人の娘で、日々の生活を送る中で、町の隅々まで知り尽くしているという。彼女の明るい性格と親切さに、悠斗はすぐに心を許すことができた。


「ここがその宿よ」


エリスが指差したのは、町の中心に位置する大きな宿屋だった。建物は古風なデザインでありながら清潔感があり、窓から漏れる灯りが温かみを感じさせる。


「ありがとう、エリス。君のおかげで良い宿が見つかったよ」


「どういたしまして!旅をするなら、良い宿に泊まることが大事よ。お疲れでしょうし、ゆっくり休んでね」


エリスはそう言って立ち去ろうとしたが、悠斗は彼女に声をかけた。


「エリス、ちょっと待って。もしよければ、一緒にお茶でもどう?旅の話を聞いてもらえると嬉しいんだ」


エリスは一瞬驚いた様子だったが、すぐに笑顔を浮かべて頷いた。


「いいわね。じゃあ、ちょっとだけお付き合いしようかしら」


悠斗とエリスは、宿のカフェスペースでテーブルを囲んだ。温かいお茶を片手に、悠斗はこれまでの旅の話をエリスに聞かせた。異世界に転生したこと、インフィニティグロースのスキルを持っていること、そして村を助けた時のこと――エリスはその話に興味津々で、時折驚きの声を上げながら聞いていた。


「すごいわ…悠斗さん、本当にそんなスキルを持ってるの?」


「信じられないかもしれないけど、本当なんだ。ただ、この力をどう使えばいいのか、まだ模索中なんだ」


「でも、その力で村を救ったのよね。それだけでも立派だわ」


エリスはそう言って、優しく微笑んだ。その笑顔に、悠斗は少しだけ救われた気がした。異世界での孤独な戦いに疲れていた彼にとって、エリスの存在は心の支えになりつつあった。


「エリス、君はこの町で何をしてるんだい?」


「私は父のお店を手伝っているの。商売は好きだけど…本当はもっと冒険したいって思ってるのよ。この町を出て、いろんな場所を見てみたいって」


「そうなんだ。それなら…一緒に旅をするってのはどうだ?」


悠斗の提案に、エリスは驚いた表情を浮かべたが、次第に目が輝き始めた。


「本当に?私が一緒に行っていいの?」


「もちろんだよ。俺も一人で旅をしてきたけど、仲間がいた方が楽しいし、助け合えることも多いだろうから」


エリスは嬉しそうに笑い、即座に決意を固めた。


「よし、決まりね!私、父に話してくるわ。ちょっと待ってて!」


そう言うと、エリスは立ち上がり、急いで宿を出て行った。悠斗はその後ろ姿を見送りながら、少し安心した気持ちでお茶を飲んだ。これで、彼には初めての旅の仲間ができる。エリスと共に、この異世界での旅を続けることができるのだ。


しばらくして、エリスが笑顔で戻ってきた。


「父も賛成してくれたわ!明日から、一緒に旅をしましょう!」


「ありがとう、エリス。これからよろしく頼むよ」


こうして、悠斗は新たな仲間を得て、異世界での冒険をさらに広げることになった。インフィニティグロースのスキルと共に、仲間との絆も強くなり、この旅がますます面白くなりそうな予感がした。


次なる目的地はどこか?彼らの前にどんな試練が待ち受けているのか?悠斗とエリスの旅は、これから新たな展開を迎えるのだった。



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