第七話: 強盗団との対決
森の静けさが戻ったのも束の間、悠斗たちは休む間もなく次なる困難に直面していた。リュウを追っていた強盗団が再び襲いかかってきたのだ。彼らは最初の攻撃で逃げたが、さらに増援を連れて戻ってきたようだった。
「くそ、あいつら執念深いな…!」
悠斗は歯を食いしばり、エリスとリュウを守るように前に立った。強盗団は十数人にも増えており、彼らの武器は鋭く、戦闘経験も豊富そうだった。リーダー格の男が前に出て、冷たい目で悠斗たちを見据えた。
「ここで大人しく捕まるなら命は助けてやる。だが、逆らうならどうなるかわかっているな?」
リーダーは悠斗たちを脅すように言ったが、悠斗は動じることなく木の枝を構えた。
「悪いが、俺たちはここで捕まるつもりはない。帰りたいなら今のうちだぞ」
悠斗の言葉に、リーダーは不敵な笑みを浮かべた。
「面白い。そんなガキが俺たちに歯向かうつもりか?だったら、その力を見せてもらおうじゃないか」
リーダーの合図で、強盗団が一斉に襲いかかってきた。彼らは悠斗を一人に集中攻撃しようとしたが、悠斗は素早くその場を飛び退り、逆に敵の隙を突くように動いた。
「エリス、リュウ!俺が奴らを引きつけるから、その間に逃げてくれ!」
「悠斗、そんなことできないわ!私たちも戦うわよ!」
エリスが決意を込めて叫んだ。リュウも怯えながらも武器を手に取り、悠斗の隣に立った。
「僕も戦う…これ以上、逃げたくないんだ!」
リュウのその言葉に、悠斗は微笑んだ。
「わかった。じゃあ、皆で奴らを倒すぞ!」
強盗団との戦いが激しく繰り広げられた。悠斗はインフィニティグロースのスキルを最大限に活かし、強盗団の攻撃をかわしながら反撃を続けた。彼の動きは次第に速く、力強くなっていき、強盗団の男たちは次々と倒れていった。
「くそ…なんて奴だ!」
リーダーは苛立ちを隠せず、仲間が倒れるのを見て拳を握りしめた。そして、自ら戦いに加わるべく、悠斗に向かって突進してきた。
「この俺が相手だ!受けてみろ!」
リーダーは大きな斧を振りかざし、悠斗に一撃を加えようとした。しかし、悠斗はその攻撃を冷静に見極め、木の枝でリーダーの斧を受け止めた。
「その程度か?」
悠斗は力を込めて斧を弾き返し、リーダーに一撃を加えた。リーダーはその攻撃に圧倒され、地面に膝をついた。
「ぐっ…この俺が…!」
リーダーは歯を食いしばりながら立ち上がろうとしたが、悠斗はすでに彼の前に立ちはだかっていた。
「これで終わりだ」
悠斗は静かにそう告げると、最後の一撃を加えた。リーダーは力尽きて地面に倒れ、息絶えた。
強盗団の他のメンバーたちは、リーダーが倒されたのを見て、一気に士気を失った。彼らは恐怖に駆られ、その場から逃げ出していった。
「ふう…何とかなったか」
悠斗は木の枝を下ろし、深呼吸をして戦いの緊張を解いた。エリスとリュウも無事であり、安心した表情で悠斗のもとに駆け寄った。
「悠斗さん、ありがとう…本当にありがとう…!」
リュウは感謝の言葉を何度も口にした。エリスも微笑みながら悠斗の腕に触れ、彼の勇敢な行動に感謝した。
「私たち、これでまた安心して旅を続けられるわね」
エリスがそう言った瞬間、遠くから再び物音が聞こえてきた。悠斗たちはその方向に目を向けたが、そこに現れたのは新たな敵ではなく、助けに来た人物だった。
「おい、みんな無事か?」
その声に悠斗たちは驚きながら振り返ると、そこには武装した兵士たちが立っていた。彼らはこの地方の治安を守るために派遣されてきた守備隊だった。
「お前たちが強盗団を撃退したのか?」
兵士たちのリーダーが悠斗たちに近づき、驚きと感心が入り混じった表情で問いかけた。
「はい、何とか撃退できました」
悠斗がそう答えると、兵士たちは顔を見合わせて微笑んだ。
「よくやった、若者たち。君たちのおかげで、この森の治安も守られた。我々はこのことを町の長に伝えておこう」
悠斗たちは感謝の言葉を受けながら、再び旅の準備を整えた。森を抜けて次の目的地へと向かう彼らの旅は、まだ続いていく。
「これで、少しはリュウも安心して暮らせるかな」
悠斗は微笑みながらリュウの頭を撫でた。リュウは照れくさそうにしながらも、その優しさに心を温められていた。
「うん、ありがとう、悠斗さん…僕、もっと強くなりたい。そして、いつか悠斗さんみたいに誰かを守れるようになりたい」
「きっとなれるさ。俺たちは仲間だから、共に成長していこう」
悠斗の言葉に、リュウは力強く頷いた。彼らの旅はまだまだ続くが、この一歩一歩が確実に彼らを成長させていることを感じていた。
こうして、悠斗、エリス、リュウの3人は新たな仲間との絆を深めながら、異世界での冒険をさらに進めていく。次なる試練がどこに待ち受けているのかは分からないが、彼らは互いを信じ、支え合いながらこの異世界での旅を続けるのだった。
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