欲望や思惑により荒んだ心は、純真な思いで溶かされる

弱小豪族の娘、糸季は、都にいる二の皇子の澪の正室候補となる。
どうして私がと不思議に思う糸季ですが、断ることはできません。戸惑いながらも都に向かう糸季ですが、この子、すごくいい子なのです。
送り出してくれる両親はもちろん、領民や家人にも慕われ、糸季もそんなみんなへの感謝を忘れない。こんな子には、ぜひ幸せになってほしいものです。
そして二の皇子の澪なのですが、彼もそんな糸季のことを思ってくれ、さらにはとても聡明な人物なのです。本来ならば。

しかし、二の皇子という立場である澪の周りには、否応なく様々な者たちの思惑が渦巻きます。
しかも、澪には皇子であること以外にも、何やら抱えているものがある模様。それらのせいで、澪は人を信じることができなくなってしまっていたのです。

こんな澪の心を、糸季は解かすことができるのか。
そして彼の秘密やそれを巡る思惑は、どこまで二人を縛り付けるのか。
二人に、それを二人を慕う人たちに、幸せと平穏が訪れることを、祈らずにはいられません。

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