第68話 (1/6) 最終話:守護霊サラとさくらのリライフ

 爆破と出産後の様子を天界で見ていたショウとサラ。

 見習いがそっと近づいてきて言った。


「無事、大仕事が終りましたね。子供も元気に産まれました」

「あの二人頑張ったよ」

「本当、感動したわ」


「はい、私もです。天界中でも今回のエピソードは大バズりしています。天と地、みんなで協調してこんな大きな事をやったのは歴史上初めてでしたので」

「本当に良かった」


 落ち着いたところで見習いが言った。


「感激のところ申し訳ありませんが、二人に通告があります」

「「え?」」


 そう言えば見習いが、何か話があるって言っていた。


「残念ながらお二人は見習いになってから、結構立ちますが、努力が足りません」

「え、そんな……」

「下界の二人をごらんなさい、ほぼ自力で幸せを勝ち取っていますよね?」

「それはそうだけど……」

「それに比べてあなた達はせっかく見習いに選抜されたのに……」

「嫌な予感がするわね」


 見習いはサラとショウを各々冷静に、いや冷酷に見据えてから言い放った。


「あなたたちは合体してもらいます!!」


「え、ええ~?」

「合体い~?」


「はい。もう二人とも守護霊としては半人前なので、他のマスターと相談して二人を合体させることになりました。これで一人前になるでしょう」


「そ、そんな……」とショウ。

「ん? ショウ、あなた嫌なの? もちろん私は不服だけど」


「え、嫌ってことはありませんが……」

「ないよねー。だったらあなたは黙ってて!」


 この期に及んでまだ喧嘩している二人が微笑ましい。


「ねえ、見習いさん、ショウが半人前なのは認めるけれど、私は違うでしょう?」

「いえ、サラさん。あなたは前世があまりにも不幸だったので期待していたんですが、天界に来てからと言うもの、安泰な生活にあぐらをかいてます。もう、前世の不幸分は解消されましたので、ショウ君と合体して少しは苦労してみてください」


「ひええ」

 サラは嘆くしかなかった。


 一方のショウは見習いに突っかかる。


「そう言えば、見習いさんは合体されているんですよね? もしかして見習いさんも半人前の集まりだったのですかね?」


(うっ、痛いところを突くやつ……)

 見習いが歯を食いしばる。


「私の事は放っておいてください。ショウさんはそういうネチネチしたところがだめなんですよ。もっと人を労わって下さい」


「はい、はーい」

「もう、軽いんだから」


 そこへ見慣れない小さい女の子の霊が近づいてきた。


「こんにちは!」


 その子がサラ達を見上げる。


「誰? この子」

「知らない」

「私は知っています」


 見習いはにこりと笑った。

 小さい女の子は言った。


「私の事わかりませんか?」


 可愛い目をぱちくりとさせる。


 サラがくびをかしげて、その後目を見開いた。


「え、まさか……」

「はい。私フェリンですよ」


「わーお、妖精が女の子に変身したっ」


「変態ですね」

 フェリンが言い直す。幼虫が蝶になることを変態と言う。


「かーわいい。フェリン。大好き~」

 サラがフェリンに抱きつく。


「僕も触っていい?」ショウが言った。


「ショウさんは駄目です!」見習いが言う。


「変態ですね」

 フェリンが同じ台詞を繰り返す。


 天界が笑いに包まれた。




  ―― 了 ―― 


  (こんどこそ終わりです)

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守護霊サラとさくらのリライフ ☃️三杉令 @misugi2023

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