これは悪夢を「味わえる」小説です。夢喰屋さんは結構ハードなお仕事です。

町の夢喰屋・エルクラートさんの元には今日もお客様がやってきます。みんなの依頼は一つ、「店主に悪夢を食べてもらう」こと。

エルクラートさんはお客様から取り出した悪夢をどうするのかというと、食べます。悪夢を取り出せるのは人間からだけでなく、犬や猫、さらには人ならざる魔物からも可能です。
取り出した悪夢ってどんな形状なの?どうやって食べるの?どんな味なの?
そのあたりの描写がこの小説を読む大きな楽しみの一つです。それぞれの悪夢の形や固さ、そして匂いや味まで、読みながら想像して楽しむことができます。

ファンタジーでありながらも、夢を題材としたミステリー要素もあり、先が気になり読み進めてしまいます。

そして、主人公でもあるエルクラートさんの人物像。本人は淡々として大真面目、はたから見ると天然なタイプか?と思いきや、仕事やライフスタイルには誇りとこだわりがあり、一本筋の通ったかっこよさがあります。これは無自覚にモテるタイプだろうなあと思ったら、そのとおりでした!

ほんのりと恋愛要素もあり、完全にはくっつききらない距離感が大好物の私には刺さりました。

夜にベッドに入り眠る前の読書にピッタリな、睡眠と夢にまつわるファンタジーです!

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