ホラー小説において、『人に対して意地悪を続ける人間』が登場したら、酷い目に遭う未来が確定しています。
そんな一種の『フラグ』を見ると、そこから読者は一気に『怖いもの見たさ』が刺激され、ぐいぐいと読み進めさせられるものです。
本作品はそんなホラーフラグを序盤から提示してくれ、「この先にどんな怖い末路が」とゾクゾクする予感を与えてくれました。
主人公はトイレで人に嫌がらせをするのが趣味。他の人がトイレに入っているのを見ると、「うっかり、うっかり」みたいなノリで電気を消して意地悪をするのが大好きな人です。
そんな彼女がトイレに入り……
ホラーの真相・結末にはいくつもの種類があり、どの方向に着地するのだろうと、ここからはもうワクワクです。ヒトコワなのか、それとも幽霊でも出てくるのか。
本作の結末は、それらの予想を超える「もっと得体の知れない」何かを提示してくれました。
果たして、彼女の身に起こったことは。「ライトが消える」という言葉が暗喩として働き、恐ろしい何かに直結している。
考察する楽しさもある、とても端正な作品でした。