児童書とか関係なくめちゃくちゃ面白い!

角川つばさ文庫小説賞という児童文庫の公募に応募されている作品で、実際しっかり子供向けを意識されて書かれてもいるのですが、対象年齢とか関係なくシンプルにめちゃくちゃ面白い。


まず、ガンマンの花子さんが怪異を倒していくという発想が新しいし、主人公がゴリゴリにAIを使いまくるのも新鮮。
そして、そんな二人のバディ関係が最高でこの二人のやり取りをいつまでも見ていたくなる。

異なる怪異ごとに工夫をして戦う場面など、バトルものとしての面白さもあって、迫力のある戦闘描写がそれを加速させてる。


何より一番感じたのは話の展開の上手さ。
濃いキャラクターたちの読んでいて楽しい会話は飽きないし、適度な伏線や謎のおかげでつい次の話を開いてしまう。
実際、私は2時間くらいかけて一気に読了してしまった。

花子さんに助けられる状況から二人で協力する関係性、そして最後は主人公が花子を助ける番へ……という展開は王道ながらやっぱりアツい。

総じて、読んでいて楽しいという気持ちがずっと続くような作品で、エンタメ小説としての質が高い。

それでいて、物語のラストには他の作品であまり見ない予想外の展開があって、作者様の哲学のようなものを感じた。


余談ですが、作中で触れられる「エンニオ・モリコーネ」という作曲家(映画音楽界隈では有名らしい)を恥ずかしながら知らなかったのですが、初めて楽曲を聞いてみて一瞬で好きになってしまいました。