『十五少年漂流記』読者は必読!

ジュール・ヴェルヌ『十五少年漂流記』という有名な児童小説の世界に現代の女の子が迷い込むところから始まる物語。
『十五少年漂流記』は1800年代に出版された古典中の古典だが、本作ではそんな原作へのリスペクトを存分に感じつつ、しっかり現代版にアップデートされている。

例えば、原作にあった黒人差別的な要素への抵抗もあれば、SDGsといった最近のトレンドまで抑えられている。
本作が応募されている角川つばさ文庫小説賞が児童文庫の公募であるため、教育という面も意識されているのかなと思った。

ちなみに、『十五少年漂流記』が未読でも、作中で説明はされているので問題なく読めるようになっている。私も未読勢だったが、楽しく読めた。原作を読んでいれば数倍楽しめたのでは……と悔しい気持ちは少しあるけど。

児童書の古典を踏襲する王道をしっかりやりながらも、『十五少年漂流記』の世界を変えていくのが新鮮な一作です!

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