さして古くもない過去の常連 ~ その縁者 ~.5
主に《
特別な
マヒアグラシアらが居たテラスと直結するその一室は、受つけ
表記違いにも貨幣の数え方(
思いつきのままに〝数〟や〝方向〟を基としたニュアンスでも呼ばれる。
〔仲のいい姉弟でしょう? でも、残念なことに姉の
問題はお兄さんの方なんだけれど。
なにも知らなかった頃は仲がよかったのよ?
彼らの内実まで知っているとは言わないけれど、親(三人)がわだかまりもなく円満に過ごして見えただけに、そろそろ和解して欲しいものだわ〕
マヒアグラシアが去った者たちの事情を話しだした。
彼女が意図する脈絡など
上の空で流したり(小麦色の肌の女子)、
いちおう耳に入れながら無に徹したり(
さほどの興味もないのに視線で問うていたり(まだら配色の髪の男/疑問の方向性は会話内容ではなく、相手に向けられた不審)、
聞いてもいなかったり(男の腕の中の少年)――と。
それぞれに違った反応をみせている。
いずれも自然、耳に入ってくる話題を、どのようにもあつかいきれずにいるようだ。
〔それにしても、おもしろいとりあわせ……いいえ。
客人らが無言を通していると、マヒアグラシアは楽しげに自身の遊興の種を明かした。
〔あの子たちの父親は、そちらの〝先の御当主の旦那さま〟の〝契約相手〟でしたから〕
頭髪がまだらな配色の男が大きく目を見開き、あらためてその情報提供者を見すえた。
――〝先の御当主の旦那さまの契約相手の子〟――
つまりは彼の姉、ルブライヤの夫(ヘーレンドゥンの父)とタックを組んでいた者の子供。
〔
さっき見た者たちの父親は、彼――ルブライアンの義理の兄にあたる男と《絆》契約を成立させた法印士だということだ。
〔えぇ。血の繫がりはなくても、義理の叔父に甥姪、いとこの顔合わせみたいな場面だったとは思いません?
長子の
そのとき。
マヒアグラシアの語りに耳をかたむけていた白と茶の髪をした男。ルブライアンの視線が自身のふところに降りた。
その
彼の息子が苦痛を〝
ルブライアンの表情が曇る。
〔弟の
父親が外出している
母親が独断でつけたので、名が父親と一音違いなの。
誰に似たのか、育てたヘーメかしらね。
三人が三人、
父親のことがあるから、子供たちが必要以上に慎重になってしまっているのかもしれないわね…〕
〔君は、法印士か?〕
〔残念なことに造る
昨今は、
(暇そうに見えたが…)
答えた当人――マヒアグラシアがさして残念そうでもなく言いはなったので、確認の問いをなげたルブライアンが腹の底でつっこみを入れている。
〔
…用件のひとつ――最重要は、その子でしょう。
近いところで、パルフェールを呼びましょう〕
〔ペリでも学生じゃないのか?〕
〔不真面目でも興味が他へ向いてるだけで…、できる子だから
対策を練るにしても、応急処置をほどこす上でもね。
あとは道具でも人材でも、必要に応じて随時対応いたしましょう。
あなた
〔当然だ〕
〔念のため、ことわっておきますが、経費(――消費される種類の法具および、滞在において生じる雑費・食費など――)は、そちらで
〔
それと聞きとめたところで、マヒアグラシアが耳元の銀色の法具に軽く指先をそえた。
〔パルフェール、ちょっと来てくれる?
――トリーン、ごめんなさい。少しのあいだ、弟を借りる。後をよろしくね?〕
建物の中央。
受付の席あたりで、彼女の
〔ところで、お連れの黒いトカゲのことですが…。
〔少し目立つ(し、荷物を
危害を
(少しかしら?)
見解の相違はあっても、思いを言葉にまではせず…――マヒアグラシアは、それとなげに客人の
〔危険なものでなければ、こちらはかまわない……と申しあげたいところですが、あのあたりは、
少し前、こちらにも報告が…〕
〔うちの者が行かないと(荷物を負って逃げまわることはあっても)動かないだろう。
ひとりやる。受けいれを手配してくれ〕
〔
黒い星トカゲは、野外にお通しする形式でかまわない?〕
〔懸念にはおよばない。あれは人並以下にもどれる。
我々と行動を共にするだろう。ジャイム〕
指名された黄緑色の髪の少年が瞬間、不本意そうな反応をみせた。
それでも行くとなれば、となりにいる同行の女性か自分(彼)になるだろう状況が理解できたので、わきまえ顔で視線を伏せたその少年は、
〔…。わかりました…(一時的にも……〝
おもて向きは冷静なようでも、やはり渋々といった印象だ。
〔受けつけにいるトリーンに事情を話せば、対応してくれるわ〕
マヒアグラシアがそれとなく行動を示していると、
そこから、ひょっこり姿を現したのは、パルフェールだ。
さっと現場のようすに流されたそのハシバミ色のまなざしが、マヒアグラシアへ
「どうしたの?」
「(こちらの子の)不調の原因を確認したいの。力を貸してちょうだいな」
▽▽ 予告です ▽▽
こちらまでお越しいただき、ありがとうございます。
次回、
前編は残り19話あります/この後、長めになってしまったところを細断する気にならなければ……です💧
(長めといっても6000字余なので、このまま突っ走りそうです……話の区切りおよび長さの調整、むずいです💦)。
神鎮め3(前・後編)〈間 章〉よしふ……よしあり ~日常にひそむ様々なきざし ①~ ぼんびゅくすもりー @Bom_mori
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