時の流れ、人の生き様に魅せられる中華ファンタジー
- ★★★ Excellent!!!
三十年という歳月。それが、荘興が白髪の少女を探し出す事に使った時間だ。
荘興は若かりし頃に出会った僧侶の言葉を信じて、白髪の少女を探し続け――そして、三十年の時を経て白髪の少女は荘興の前に現れる。
その執念たるや凄まじいもので、荘興は少女を探し出す為に人生を賭けたと言っても過言ではないだろうか。情報を探し出すために、組織を抱え、気づけは三千人を超える任侠集団の頭にまで上り詰めたのだ。
白髪の少女――白麗と荘興。
物語の中心でもある白麗は、話ができない。思惑を語らないどころか、記憶が続かない。荘興が三十年探し続けた少女は何を思い、荘興となぜ出会ったのか。
人との巡り合い、思い、思惑、対立。
様々な人の心飛び交うストーリーは、後宮や武侠とはまた違った持ち味でありながら、濃厚な物語を見せてくれる。
時に春のように穏やかな風のような、時に寒々しい吹雪のような、美しい世界観の中華ファンタジーを味わえる筈。
オススメです。