味わい深い、中華風ファンタジー

くっきりとした世界観の素晴らしさもあるのですが、私が惹かれたのは登場人物たちの味わい深さ。歳を取らない神秘的な白髪の美少女を中心に渦巻く運命の中で、消えてゆく者、興る者、そして興った者もまた当然のように消えてゆく。登場人物達はその諸行無常を受け入れ、独り変わらぬ少女を、次の守り手へと託す。その潔さが本当に素敵でした。
私のイチオシは、前半に登場する一人の僧侶。彼には本当に、何かを『持って行かれた』気がします。
大人の女性向けということですが、これは男性も若者も楽しめるのではないでしょうか。