三十年という歳月。それが、荘興が白髪の少女を探し出す事に使った時間だ。
荘興は若かりし頃に出会った僧侶の言葉を信じて、白髪の少女を探し続け――そして、三十年の時を経て白髪の少女は荘興の前に現れる。
その執念たるや凄まじいもので、荘興は少女を探し出す為に人生を賭けたと言っても過言ではないだろうか。情報を探し出すために、組織を抱え、気づけは三千人を超える任侠集団の頭にまで上り詰めたのだ。
白髪の少女――白麗と荘興。
物語の中心でもある白麗は、話ができない。思惑を語らないどころか、記憶が続かない。荘興が三十年探し続けた少女は何を思い、荘興となぜ出会ったのか。
人との巡り合い、思い、思惑、対立。
様々な人の心飛び交うストーリーは、後宮や武侠とはまた違った持ち味でありながら、濃厚な物語を見せてくれる。
時に春のように穏やかな風のような、時に寒々しい吹雪のような、美しい世界観の中華ファンタジーを味わえる筈。
オススメです。
天界から中華大陸へ落ちた白い髪の美しい少女がいる。そんな噂に魅了された任侠集団の宗主である荘興は、少女を長年探しつづけました。そして、念願かなって噂の少女である白麗に会うことに成功。
荘興は白麗の衣食住の面倒を見ることになるのですが……
日本で中華ファンタジーといえば、宮廷もの(たまに武侠)を思い浮かべる人が多いかと思います。
なのですが、なんと本作に登場するのは中華風の世界で暮らす一般の人々!
めちゃくちゃレアな設定なんです。
中国の古い時代、一般の人がどんな暮らしをしてたかとか想像できなくないですか?
本作には、こういう日本の中華ファンタジーではあまり見かけないシチュエーションが満載。いつもと一味違う中華ファンタジーが読みたいあなたにおススメです♪
ちなみに本作の内容を、日本でも人気のジャンルをもちいて表現すると――
江戸の下町を舞台にした人情に厚い人々を描く時代小説があったとしたら、舞台を中国風の街や人に変更してファンタジックな要素を盛り込んだ物語。
上記のような読書体験になるはずです☆
(以前に作者さまがおっしゃっていたことを自分なりに解釈したつもり。ちがってたらごめんなさい)
人々の感情がリアルに描かれていて、義理人情もある。時代小説好きさんも楽しく読める作品だと思います♪