第4話 ドラゴンの力

そして、振り上げられた斧は……真っ直ぐベリアルの元に


「危なーーーい!!!」


俺がベリアルを庇うと、ガギーーーーンー!

物凄い金属音と共に、斧が砕け散った。


「何だ……? 魔法か!?」


ベリアルを庇う為に出した腕は、真っ白な鱗に包まれていた。


「ヤッベ〜……腕無くなったかと思った。」


すると、村人達がゾロゾロ集まり!

俺達を囲み出した。

その中には、ベリアルの親達の姿も見えたので……


「何で……あんた達も混ざってるんだ!!!」


「その子は、白龍様の生贄にする為に育てていただけだ!

実の娘でも何でも無い!!!」


『お前には、理解できんかも知れんが……

この村で、我に生贄を出すと言うのは、それ程ーー大事な事と理解しているのだ。』


「いや、でも……ならこの子は、何のために生まれて来たんだ!!!」


『この子を助けたいなら、今は逃げるのが賢明な判断じゃ!

それか……この村の者を全て殺すか。』


「いや、前者に決まってるが……薬がーー

クソッ! とりあえず今は、一旦逃げる!

ごめん……ベリアル。」


そして、俺はベリアルを抱えて走った。


「「「待てーーー!!!」」」


俺達は、村を出て森に入ると……


「まだ、追って来てやがる。

ベリアル、大丈夫か!?」


彼女は、物凄く苦しがり……何度も吐血を繰り返している。


『正面から複数の生体反応だ。』


「先回りされたのか?」


『分からんが……人間でない可能性も高いから気をつけろ。』


人間で無いならモンスターか!?

この森は、もともと魔物が少ない森だと聞いていたが……


すると、目の前に複数の地龍が現れた!


「何だ!? この数、しかも地龍なんて……」


『コイツらが、龍!? こんなモン。

ただのトカゲだろうが!』


「見た目は、ただの大トカゲだが……

俺達、人間から見ればーー硬い鱗に牙と爪ーー翼が無いだけで、ドラゴンと同じくらい脅威なんだよ!」


『しゃらくせ〜! こんな小物ども咆哮で、蹴散らしてやれ!!!』


「咆哮……それならベリアルに、負担もかからない!」


俺は、地龍こと大トカゲに向けて咆哮を放つと!


ゴォォォヲヴォォォー!!!


炎を吐き出した。


『おおー! 炎で、一掃するとはーー良きかな良きかな。

気持ちが、スッとしたわ!』


「いや、出したくて出したんじゃないわ!

森に火の気が……」


『別に、良かろう。

これで、人間達も追ってはこれんじゃろ!

早く抜けんと、炎がドンドン強くなってしまうぞ。』


「ああぁぁぁーーー……

もう、どうとでもなれ!!!」


俺達は、炎を抜けて数百キロ進んだ所で足を止めた。


そして、ベリアルを地面に寝かせると


「どうしよう……呼吸が浅くなってる。」


『苦しまぬ様に、殺してやるのも優しさかもしれん。』


「いや……でも……俺が、あの時ーーすぐに洞窟から出ていれば、こんな事には……」


『今更言っても仕方がない事。

それより、苦しむコイツを救ってやれるのは

お前だけじゃ!』


すると、弱々しく声でベリアルが話し出した。


「……わたし……は、もとも……と…………死ぬはずだった。

覚悟は…………できている……から……………

白龍様の…‥お好きな…………ように」


「俺は、白龍じゃないし……

君に、死んでほしくない。」


「……名前を…………おし………………」


「俺の名は、リオン……」


「リオ…………」


「そう、リオでいい。

だから、頑張れ!」


『リオン……この娘を助ける方法が一つある。』


「ならばーー教えてくれ!!!」


『しかし、助かるか助からんかはーー半々だな。

それでも、良いのか? 

助からなければ、無駄に娘を苦しませるだけだぞ。』


「それでも良い……この子には、自分を必要と思ってくれている人が居るって事を知ってもらいたいんだ!

俺が、その1人になる。」


『お前の覚悟……しかと、受け取った。

我、聖龍の回復術! それをお前に授ける。

この娘が死ぬ以上の回復魔法を施すのじゃ!』


それから、俺は……

飲まず食わず、睡眠も一切取らずベリアルに回復魔法をかけ続けた。


その間、ベリアルはーーずっと苦しみ!

血を吐き続けたが……


それが、収まるとーー呼吸が安定していった。


『何とかなったみたいだな。』


「彼女は……もう……大丈夫なのか…………!?」


『多分な。』


「なら、良かった…………」


そして、俺は気を失った。

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