第16話 黒龍

そうして、リオン達は黒龍を迎え撃つ為の準備を整えた。


王都の少し離れた平地に、兵を配置してーー

数日後、それは現れた!!!


ギギャァァァァァァァーーー!!!


「現れたな! 黒龍……

お前ら、気を引き締めろ!」


リオンは、ハクを通信用に部隊に配置すると

そこから指示を出した。


「魔法部隊! 砲撃用意……打てーー!!!」


魔法部隊の一斉砲撃が、黒龍を襲うと

黒龍は、爆炎と煙に包まれ姿が見えなくなった。


「やったか?」


すると、爆煙の中から……

一筋の光が見えると、光が通った方角は

物凄い爆発と共に、兵士達が吹き飛ばされていた。


「おいおい……俺のブレスとは、比較にならない程の威力じゃねーか。」


「だから、初めから言っておるじゃろう。

兵士など、何の役にも立たんと。」


「魔法部隊は、兵士を魔法障壁で守りながら戦ってくれ!

俺が、黒龍を地面に叩き落とすーー。」


それけら、黒龍との攻防戦が始まった。


しかし、魔導師達とリオンが力を合わせても黒龍は地面に落とす事は出来なかった。


「仕方ない……龍人化する。」


その発言を誰も止める事は、出来ない。


それ程までに、黒龍の力は凄まじくーーリオンが龍人化しない限り正気は無いと分かっていたからだ。


そして、龍人と化したリオンは黒龍に向かって突っ込むーー黒龍は、咆哮を上げながらブレスで横線をする。


それを龍人と化したリオンが、弾き飛ばすと

爆発音と共に、黒龍に渾身の一撃を喰らわせる。

黒龍は、唸り声を上げながら地上へと落下していく……


それを見た皆んなの歓声とは裏腹に、黒龍はーー周囲一帯に、閃光のブレスを吐きまくった。


すると、周囲一帯はーー凄まじい爆発により。


焼け野原と変わった……


「…………あの野郎!!! ベル!?

ベリアルは、無事なのか!?」


リオンが周りを伺うと、周囲には兵士達の無惨な死体が転がっていた。


その中に、白髪の少女を見つけると……


鼓動が早くなる……


「ベル……ベリアル…………回復魔法を……」


リオンは、急いでベリアルに回復魔法をかける。


「ベル……ベル…………大丈夫か!? ベル!」


「…………」


「出血が多過ぎる……俺の血をベルに……」


「それは、ダメじゃ! リオン!!!」


その行動を見ていたハクに、止められた。


「何故!? このままでは、ベルが……」


「お前が、ベルや他からエネルギーを貰うのは

当たり前の事だ!

しかし、お前のエネルギーを他に与えるのはーーダメじゃ!

お前以外は、黒龍を止める事は出来ない。

ならば、お前はーーどれだけ犠牲が出ようが黒龍を倒さなければならないのだ!

そんな無駄な事に、エネルギーを消費するな。」


「無駄な事……ベルは、仲間だ!」


「我にとっては、その辺で転がっている兵士と何ら変わらん。

元々、お前の魔力を回復するために側に置いているだけだ!」


「俺にとっては、かけがえのない人なんだ!」


「よく考えろ! リオン……

今、ベルを助けた所でーーお前が黒龍にやられては、何の意味もない。

お前が居なくなれば、ベルも必ず死ぬ。

ならば、今は目先のベルの命より! 

黒龍を倒す事、自分が生き残る事だけを考えろ!」


「ハク……お前の言ってる事は、分かる。

しかし、これは理屈じゃねーんだ!

俺は、ベルの事が死ぬほど大事で、大好きなんだ!!!

だから、ベルが居ない世界なんて助ける意味は無い。」


「そこまで、言うなら仕方がない……」


そうして、ハクも納得してベルを助ける事になった。


「生命エネルギーを渡すと……こんなにも体力を奪われるのか。

ベルは、いつも……」


「今は、余計な事を考えるな!

お前に、最後の質問を問う。」


「まだ、世界を助ける方法はあるんだろ!

だから、お前はーー俺がベルを助けるのを本気では止めなかった。そうだろ!!!」


「いや……止めてはいたさーー

しかし、我も思う所はある……

お前の覚悟を聞きたかったのだ。

ベルも世界も助ける事は出来るが、お前は人に戻れなくなる。」


「そのくらい覚悟の上だ!」


「分かった。

覚悟が足らんかったのは、我の方だな……

それ程までに、お前とベルとの旅は楽しいものであった。」


「ああ……俺も楽しかったぜ!

きっと、ベルも同じ気持ちのはずだ。

だからこそ、ベル達が暮らす未来の為に世界を守るぞ! ハクーー。」


「分かっておる。

リオン、龍神となれ!」


「龍神……!?」


「ああ、今までのは、ただの龍人化だ!

その先にある。龍神化ーー

龍神の姿になれば、黒龍を倒せる。」


「俺は、ドラゴンになると言う事か……

思い残す事は、かなりあるが……諦めるしか無いみたいだな。

分かった! やってやる。

どうすればいい?」


「我も力を貸す! 今こそドラゴンの力を解放するのじゃ!!!」


「分かった!」


そして、ドラゴンの力を解放したリオンは

白銀のドラゴンへと姿を変えた。


すると、白銀のドラゴンから光の粒が飛散すると瀕死だった兵士達の傷が癒えていく……

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