第11話 追いかける

そして、翌朝。


「…………僕は!」


「おおー! ヘルメスやっと起きたか!?」


「ベリアルは……アイツは!?」


「先に向かったわよ。」


「くそッ……話は、終わってないのにーー」


「別に、私達の仲間でも無いんだから放っておけば良いのよ。」


「そんな訳には、いかない。

2人と……急いで、彼らを追うぞ!」


「俺達は、準備は終わってる。

あとは、お前待ちだが……」


そうして……


ヘルメス達は、リオン達を追って村に向かった。



「……酷い状況だな。」


「これでは、生存者は見込めないわね。」


そこには、一つの村が瓦礫とかした姿があった。


「ベリアルは……」


「知らないわよ! まだ、来ていないんじゃない!?」


「とりあえず、村を捜索してみよう。」


「ああ……」


そうして、ヘルメス達は村を探索すると……

村の中心に、黒いモヤの魔素溜まりみたいなモノを見つけた。


「これは、黒龍がここに居た証拠だな……」


「森の魔物達が、黒かったのはーーこのせいだったのか……」


「この黒い煙、毒ではないみたいだけど……

あまり吸い込まない方が、良いわよね!?」


すると、その黒い煙はヘルメスにまとわり付くと……消えて行った。


「大丈夫か? ヘルメス……」


「別に……何ともない。

勇者だから、聖なる力でも目覚めてーーそれで、浄化されたのかな?」


「きっとそうよ! ヘルメスは、勇者だし。」


「もう少し、村を見てまわろう。」



こちらは、森の中……


「リオ……大丈夫?」


「ああ……少し魔力を使い過ぎた。」


リオン達は、朝から森中を駆け回りーー昨日、倒せなかった魔物を倒しに行っていた。


そして、魔物の発生を抑える為に

自分の鱗を使い森の至る所に結界を張り巡らせていた。


「回復が必要なら、私を使って下さい!」


「いや、まだ大丈夫そうだ……

それに、昨日も血を吸ったからベルの体調も心配だ。」


「まぁ、魔物はーーあらかた退治したし。

村には、黒龍は居ないだろうから……心配無かろう。」


「なら、大丈夫だ。

少し村を見て異変が無ければ、帰ろう。」


そうして、俺達はヘルメス達に遅れて村に着いた。



「おおーい。

お前ら、なんか異変はあったのか?」


「遅いわね。

あんた達、何やってたの?」


「野暮用だ!」


「野暮用って……

まぁ、見ての通り村がーーめちゃくちゃ事くらいか!

あっ!? あと、黒い霧の様なものがーーあっが……ヘルメスが浄化した。」


「へぇ〜……ヘルメスは、浄化まで出来るのか?」


「当たり前でしょ! 勇者なんだから。」


「いや! 浄化は、勇者と言うより聖女がーー

するイメージがあるが、まぁそんな事はどうでも良いか。」


「とりあえず、私達はーーギルドに村と黒い魔物の報告に戻るけど、貴方達はどうするの?」


「俺達も、もう少し村を見て森の調査をしたら

街に戻る。」


「分かったわ。」


「じゃーな。ムカつく奴だったけど……

晩御飯は、世話になった。」


「何だ、お前……

たかだかメシだけで機嫌を直すとは、安い男だな!」


「やっぱり! お前は嫌いだ!!!

もう一生、関わりたくない。」


「まぁ、そう言うなよ。

また機会があれば、使ってやるから!

頼むぜ! 勇者様一向。」


「うるせー!!!」


「じゃーな。

もう、森には、たいした魔物は居ないと思うが……一応、気をつけ帰れよ!」


そうして、勇者一向と別れを告げたが……


ヘルメスだけは、様子が変だった。


いきなりベリアルの腕を掴むとーー


「ベリアル! 君は、僕達と一緒に来るんだ。」


「えっ!? 何をするんですか?

……嫌です! 離して下さい。」


「ダメだ! 君は、この男と一緒に居てはいけない。」


「ヘルメス……冗談なら、つまらないぞ!」


「そうだ! ヘルメス……俺達には、関係の無い事だ。」


「僕は、勇者だ! 誰か傷つく事は見過ごせないーー」


「だとしても、この子がリオンと一緒に居たいと言っているなら、貴方にそれを止める権利はないわ!」


「そんな事は無い!!!

僕は、必ずーーこの男からベリアルを守る!」


すると、ヘルメスの体からは黒いモヤのような物が溢れ出して来た!


「おい! ヘルメス……」


「お前……体から黒い煙が出ているぞ!

それが原因で、こんな事をしているのか?」


「そんな事は無い! 君が悪であるかぎり。

僕の行動は変わらない……」


すると、溢れ出た煙がヘルメスにまとわり付くと……装備を黒く変色させた。


「来い! リオンーーお前を殺してベリアルを正気に戻してやる。」


すると、ヘルメスは黒いモヤを出すとベリアルを真っ黒な結界で包んだ!


「ヘルメス、やり過ぎだ!」


「ヘルメス……何しているの? やめなさい!」


「リオン……あの檻は、マズイかも知れない。

あの中に、長く居るとベリアルの精神が変わってしまうかも知れない。」


「ヘルメス!!! 死んでも文句言うなよ!」


「望む所だ! 

僕は、初めからーーお前を殺すつもりだ。

そして、ベリアルを僕のモノにする!」


「おい! 2人とも……」

「ヘルメス……本当に、どうしちゃったの?

いつもの貴方らしくないわよ。」


「黙れ! 来い! リオン!!!」


そして、リオンとヘルメスはぶつかり合った。

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