冴えない冒険者の俺がドラゴンの力で世界を救う。

国語力 漫点

第1話 始まり。

ドラゴンとは、人が到底敵わない生物の頂点に君臨する生物!


その爪は、人の体を切り裂き……


その牙は、人を簡単に食い千切り……


そして……


その炎は、1つの街をすらチリへと変える。



そんなドラゴンの棲家に、俺は迷い込んでいた。


そこは、深い森の洞窟の中……


「何なんだよ。ここは、薄気味悪いな……

確か、今回の依頼は女の子をーーこの洞窟内の特定場所への護衛だよな。

遅刻したから、女の子が先に行ってると思って入って来たけど……全く見当たらないし。

何処まで、続くんだ? この洞窟は?」


そして、洞窟の1番奥の開けた場所に

真っ白で綺麗な山が一つ。


俺は、その山に登ると


「とりあえず、ここで待つか。」


すると、その山が動き出した!


「何だ!? 地震か???

うわぁーーー!!!」


俺は、その山から転がり落ちた。


「いっ……てぇーーー!!!」


「何だ! 貴様は、今回の生贄か……!?」


「生贄? 誰か居るのか?」


そう言って、周りを見渡すが人の姿は見当たらない。


しかし、さっきまで登っていた山の異変には気づく事が出来た。


「この山、こんな形だったけ……」


「我は、山などでは無いはーー愚か者が!」


そして、俺は声のする方に顔を上げてみるとーー


「ド……ドラゴン!!! ぎゃあぁぁー!!!

誰か助けてくれーーー!!!」


俺は、目の前の巨大なドラゴンに腰を抜かし……動けなくなってしまった。


『お……俺みたいな、下っ端冒険者には

荷が重すぎる。ドラゴンなんて……』


「見るからに、生贄ではーーなさそうだが……

それにしても、逃げ出さぬとは……良い度胸だ!」


「……まあ、これでも俺は冒険者だからな。」


精一杯の虚勢を張る。


「俺は、お前の元に生贄を無事に連れてくる依頼を受けたんだ。

だから、俺を食べないでくれ!」


「ほお……それで、その生贄は何処にいる?」


「実は、はぐれた。

だけど……待ってくれ! 

すぐに見つけて連れてくるから。」


「別に、構わん。

我は、もう長くはない。

その為……生贄の必要も無くなった。」


「長く無いって……死ぬんですか?」


「大地に帰るだけじゃ……

しかし、出来ればーー奴と、もう一度……

今更、言っても仕方ないことじゃ。」


「奴とは?」


「お前には、関係のない事ーー

いや、待てよ……

おぬし力が欲しくないか!? 

この世で絶対的で圧倒的な力が……」


「この世で絶対的で圧倒的な力……

それをくれる代わりに、俺を食べるとか言わないですよね。」


「お前みたいな、臭くて不味そうな者など

食べんわ!!!」


「臭くてないわッ! 多分……」


俺は、少し悩んだ……

しかし、この世で絶対的な力なんてーー

欲しいに決まっている。

それを手に入れれば、俺の下っ端冒険者から高ランク冒険者となり。

俺の人生は、バラ色で女の子に囲まれたハーレム生活も夢じゃない。


俺は、答えた!


「欲しい!!!」


「なら、くれてやろう。」


「そんな簡単に? どんな力なのですか?」


「我の力じゃ!

ドラゴンの圧倒的な力をお前に、授ける。」


「何と……ドラゴンの力を我が物に!

いや、嫌だよ!!! 

俺、ドラゴンーー何かになりたくない。」


「心配するな!

人の姿のままドラゴンの力を使える様になるだけじゃ。」


「それならば……

一つ聞いて良いですか?」


「何じゃ?」


「ドラゴンは、皆んな人間に力を与える事が出来るのですか?」


「さぁー知らんな。

我も初めから、この力を使えた訳ではないからの……。

何人もの生贄をバラして食べた為に

人間の構造を理解し。出来る様になった芸当だ!」


「そうなんですか……ひぃ〜!

そんなに人を食べたんですか!?」


「動けなくなってからは、生贄の人間しか口にしとらん。

別に、人間でなくとも牛や羊でも良かったのじゃがーー人間より。

そちらの方が腹が満たされるからのぉ……」


「さようで……」


確かに、誰でも生贄を持って来い! と

ドラゴンに言われれば、若い女の子を生贄を連れてくる。

誰も悪くない! でも、ちゃんと言えよドラゴンさん……牛や羊で良いなんて誰も思わないよ。


「では、早速! お前に、我の力を移そう。」


「えっ!? もう……」


すると、大きな真っ白ドラゴンは


ーー力を凝縮ーー



真っ赤な玉を作り出した。



「これを飲め!」


「これは、何なのですか? てか、そんなに大きな玉なんて飲み込めませんよ。」


「これは、我だ! 

良いから、つべこべ言わずにーー飲め!」


そう言って、俺の口にドラゴンは玉を押し込んで来た!


ふぎふぎふき無理無理無理…………ゴックンッ。」


俺は、玉を飲み込んだ。


「ゲホッ……ゲホッ…………ゲホッゲホッ!

何すんだテメー!!! 死ぬかと思ったわ!」


「本当に、死ぬかもしれんのは、これからじゃぞ。」


「えっ?」


すると、俺の体は……至る所がきしみだし。


ビギ…………ビギ……ゴキ…‥ゴリゴリゴキゴリ………


「うぎゃあぁぁぁぁあー!!! いだい!!!

死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ……マジで! マジで……

マジで! 死ぬから!!!」


ゴギゴキ……ビギビギ、ギリギリギリギリ……ガギ……ゴキ………ゴグン………ドックン……

ドックン……ドク……ドクドクドクドクドクドクドクドクドクドクドクドクドクドクドクドク……………


「ががががぁ……オェ〜…‥ゲホッゲホッ…………ぐがぁぁぁぁ……ががぁ……グヘ、グハ!」


そんな痛みが、数時間続くと……


「…………ッ……………………ッ…………………………………………………………」


俺は、色んな所からーー液体と言う液体を垂れ流しながら地面に這いつくばっていた。


自分では、もう生きているのか

死んでいるのかも分からない状態の中……

俺は、夢を見た。


それは、川の向こうで……

親父が手を振っている夢だった。


「ここは……? 

あれは、親父!?

聞こえにくいが……親父が、なんか言っている。」


俺は、耳を澄まして親父の声を聞いてみた。


「わしは、まだ死んでおらんぞ!!!

勝手、殺すな!!!」


『親父……親父は、まだ死んでない……』



「はッ……!」


そして、俺は目を覚ました。

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