第163話 IWATA(sideG)


「ご主人様、こちらがメニューとなりまーす♪」


 オレは岩田いわたさんからメニューを受け取った。

 一番安いメニューを頼んで、今日はとっととここから出るか……。

 次は指名出来る時に来よう。もちろん岩田さん以外のメイドさんをね。


(……え?)


 オレはメニューを見て、ギョッとした。


・特性ジュース、ポッキーゲーム付き(一万円)

・特性ジュース、UNO勝負アリ(一万二千円)

・特性オムライス、ポッキーゲーム付き(一万二千円)

・特性オムライス、UNO勝負アリ(一万二千円)

・ドンペリ(あなたの年収いただきます❤)

・特性サイダー、ポッキーゲーム付き(一万円)

・特性サイダー、UNO勝負アリ(一万二千円)

・シャンパンタワー(あなたの年収いただきます❤)

・ていうかホントの年収いくら?

・ご職業は?

・彼女とか居ないんですか?

・あ、居ないからメイド喫茶に来てるのね(笑)

・ところでフランスって治安良いのかしら?

・フランス行ったことないのよねえ

・ヨーロッパの国境で反復横飛びしたらどうなるの?

・マルセルさん納豆食べたことあります?


 メニューには、ずらりとそう書いてあったのだった。


(え、えええええええええええええええええええ?)


 なにこれええええええええええええ?

 ホントにメニュー?


 どんだけポッキーゲームやらせたいの?

 どんだけUNOやりたいの?

 どんだけお金搾取しようとしてんの?


 つーか最後の方とか最早メニューじゃねーだろ。お見合いの質問になってんじゃねーか。


 完全にオレ専用のメニューだよねこれ。最後オレの名前あるじゃねーか。

 いつ何処でどーやって作ったのこれ?


「マルセルさん、これが大和撫子の力よ」


 そーなの? そんなしょーもないモノを生成するのが大和撫子の力なの?

 てか自分で名乗れるもんだっけ大和撫子って。


「マルセルさん、女の子は誰だって大和撫子になれるのよ」


 え、あなた女の子って年齢でしたっけ?


「そう。私は永遠の十七歳……。あの頃から変わってないのよ」


 それ精神的に成長できてないってことですよね。


「私もIWATA(17)で活動していこうかしら」


 何の話ですか?


「ほらマルセルさん、早くオーダーしてくれない?」


 このメニューの中から選ぶのか……。

 心に決めた彼女居るから、ポッキーゲームなんてやりたくねーし……。

 仕方ない……UNOでもやるか……。


「じゃあ、特性ジュース、UNO勝負アリ(一万二千円)で」


「かしこまりましたご主人様♪ 魔法の力で持ってくるので、ちょっと待っててくださいね♪」


 シュ~! と言いながら、岩田さんは奥の方に消えていった。

 ……何だ今のは?

 シュ~! って……。


 ま、まあいい……。

 明らかにぼったくりだけど、特性ジュース飲んでUNOやってさっさと帰ろう。

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