あらすじ

(あらすじ)

 異能者であるアキラは怪異解決を生業としている。

 数年前、織部西條おりべさいじょうという霊能者の死とともに殉葬されそうになっていたかんなぎのヒオを救って以来、妙になつかれて彼と行動を共にしている。


※この作品は、民俗学テイストの短編連作形式となります。以下、短編のあらすじ


・『送別の品』

 とある商社の営業三課社員芝浦凛しばうらりんが突如大量の毛髪を嘔吐して倒れる。そればかりではなくフロアには常に大量の毛髪が落ちていて、社内では不穏なことが続く。

 依頼を受けて会社を訪問したアキラは、その原因は芝浦が中村日和なかむらひよりから贈られたつげの櫛によるものだと指摘。

 櫛は古来より呪具として使用されていた。古墳の石室にも櫛を置いて邪気を払った形跡があるし、イザナギも悪鬼から身を護るために櫛を投げる。魔除けとして利用される一方、「」「」というその音により、拾うことやもらうことを忌むべきだともされていた。

 捨てても戻って来るつげの櫛。それは芝浦によって退職に追い込まれた中村からの呪具だった。


・『老女と箒』

 玲と隼人は新婚夫婦だ。だが「この結婚は失敗だった」と考える玲の夢にはいつも箒を持った老女が現れる。

 新居に引っ越したその日、家中に箒がたてかけてあるのと、老婆の幽霊を見る。

 隼人が言うにはその老婆は「おばあちゃん」だと言う。

 依頼を受けてやってきたアキラは、「箒は呪具だ」と説明した。

 はききよめる、というその機能から、古来より悪霊を祓ったり、産気づいた妊婦の安産をうながすために使用されていた、と。

 夢の老婆は、玲にふりかかる悪意を掃き清めるため、箒をふるっていたと指摘する。


・『茶室の幽霊』

 山藤家の女性は、老いも若きもすべて幽霊が見える。

 彼女たちが買った中古物件には茶室がついていた。唯一幽霊の見えない単身赴任中の夫の趣味が茶道だったからだ。

 ただ、そこには女性の幽霊が現れる。茶室から出てこないその幽霊は晒し布と赤い糸を欲し、虎の図柄を提示して何かを伝えるのだが山藤家のみんなにはわからない。通訳のためにアキラは呼ばれる。

「これは、千人針だ」とアキラは説明する。

 虎は千里を行き、千里を戻ると言われていて、無事に戦地から戻るために千人針に好まれた図柄だった。

 この家の茶室部分は戦時中座敷牢となっており、結核を患っていた女性が閉じ込められていた。その女性が戦地に向かう許嫁のために千人針を渡したかったのだが、志半ばに命を失ってしまった。

 そのことが心残りの彼女は、千人針を完成させるために山藤の女性たちに頼んでいたのだった。


・『市松人形』

 高齢者専用住宅で働く実里みさとの担当利用者は「良子」と名付けた市松人形を育てている広川すえ。悪意ある他の利用者から「良子」は奪われ捨てられる。

 広川すえが亡くなって以降、施設では夜な夜な市松人形が歩き回り、その対策のためにアキラは呼ばれる。


・『訪問者』

 とある地区に住む真紀は、ある日を境に毎晩やって来る訪問者に悩まされていた。

 彼らは執拗に「あいさつがまだだ」と言う。それと時を同じくして地区には怪異が起こり始めた。田植えの時期だというのに、用水路が詰まってしまい、このままでは各田への配水が滞る。アキラはその対応のために呼ばれ、調査をする。

 その際、真紀がなにものかに付きまとわれるが、アキラとヒオはそれを煙草の煙で撃退する。

「形見分けの品になにをもらいました?」

 アキラは真紀に尋ねる。彼女の夫が父の形見分けになにかをもらったというのだ。

 彼女の夫がもらったもの。

 それは稲荷の神像だった。


※こちらは『第8回富士見ノベル大賞』応募のために追加したものです。

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炯々とした目の彼女が語るには 武州青嵐(さくら青嵐) @h94095

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