呼びたい
私は彼を友達だと思っていた。というか、親友だとすら思っていた。
私の好きなことに興味を持ってくれる彼。呆れながらも、運転席で笑う彼。
だから、彼が死んで遺された手紙を見た時、震えが止まらなかった。廃墟もお化けも、怖くてたまらなかったが、その怖さの中に温かさがある気がして、見えないものを見たくて、だからオカルトが好きだったのだ。どんなに怖くても彼が横にいてくれたから、私は色々なことに挑戦できたのに。
彼がいなくては、手の震えが止まらない。彼に会わないと怖いのが収まらないのに、彼を呼ぶのが心底怖い。
何もなくなった納屋で、彼の遺書を広げた。それはこっくりさんで使う五十音表だった。その上に五円玉を置いて、指を添える。
私は震えるままに、無理やり喉の奥から絞り出して、彼の名を呼んだ。
こっくりさんになりたい 安座ぺん @menimega
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