こっくりさんになりたい

安座ぺん

呼んで





 君は死んでいる人が好きだった。もっと正しく言うのなら、幽霊、オカルト、怪しいもの、呪い、廃墟などなどが好きだった。

 目をキラキラさせながらこっくりさんに誘ってくる君。話題の心霊スポットまでの足として、俺に車を出させる君。

 最初はそれだけで楽しかったんだけれど、廃墟にて、排水溝から現れた髪の長い女を見つめる、君の横顔があまりにも眩しかった。生きている限り、君の目には止まらないようだと気づいたその日。

 俺は自宅の納屋を心霊スポットにすることにした。

 君がこっくりさんを呼ぶ愛し気な声で、俺を呼んでくれることを祈って。

 足元の台を蹴り飛ばした。

 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る